高校受験キホンのキ(東京都版)

学費を安く抑えられる
金銭補助制度とは?
奨学金・特待制度など

高校受験をすると同時に親御さんが必ず考えなければいけないのが、「高校入学と共にかかるお金」についてです。

親御さんとしては現実問題として高校でどのくらい出費があるのかが気になるかと思います。その中でもし条件が合えば奨学金や特待生制度なども利用したいですよね。

ここではそんな金銭補助制度についていくつかご紹介していきます。

高校にかかるお金を節約するには?

義務教育までは考えずとも良かった授業料や入学金。これらは高校に入学してからは必須ですし、必要なお金はどうしても大きな金額になってしまいます。ですから、節約できるなら節約したいですよね。

そこで今回は、高校入学の際に活用できる「各種金銭補助制度」についてご説明します。

金銭補助制度を活用しよう!

「教育の機会を誰にでも平等に」という考えから、近年では国や自治体、あるいは各学校が「高校に入学してからかかるお金を補助する制度」を設置しているケースが増加しています。

成績が優秀な生徒に対して金銭補助をしてくれる特待生制度はよく知られていますよね。その他、全国共通の支援金制度や、高校が独自に行っている補助制度もあります。

それぞれの制度には所得の制限などがありますから、次で詳しく見てみましょう。

都立の金銭補助制度について

まずは都立高校の金銭補助制度を見てみましょう。都立高校で受けられる制度には、次に紹介する「高等学校等就学支援金制度」があります。

高等学校等就学支援金制度

この制度は国が行っている授業料支援であり、都立高校のみならず全国の公立高校で受けられます。全国では約8割の高校生がこの制度を利用しています。

公立高校に在籍している生徒が対象になり、在籍している3年間支援金が支給されます。

また、私立高校においてもこの高等学校等就学支援金制度が適用されるのですが、実質的な内容は都立高校と少し異なるので後に説明します。

支給条件

支給に当たっての条件は「所得制限」です。世帯の年間所得が約910万円未満の家庭で適用されます(所得税にすると507,000円まで)。

支給額

都立高校(全日制)の授業料は、(9,900円/月)×12カ月=(118,800円/年)です。この授業料がすべて無償になります。

ちなみに定時制高校の場合、年間の授業料が32,400円で、この場合は支払う金額までが支援されます。

受給手続き方法

条件に合う家庭であれば誰でも手続き可能です。手続きには、入学した高校か配布される「申請書」「マイナンバーカード」が必要です。申請書に必要事項を記入の上で提出しましょう。

ちなみに1年生の場合は年2回、2・3年生の場合は年1回の手続きをします。

高校生等奨学給付金

都立高校で活用できる助成制度にはこちらの「高校生等奨学給付金」もあります。

高校に入学してかかるお金は授業料だけではありません。入学金をはじめ教科書代、教材費などにもお金がかかります。その授業料以外の支援をしてくれるのがこちらの制度です。

ただしこちらは「生活保護を受けている世帯」「住民税が非課税の世帯」などが対象となります。

高校独自の支援制度もある!

高校によっては、その学校独自の支援制度が設けられていることもあります。ここではいくつかの学校の支援制度をご紹介します。

受験を予定している学校にもこうした支援制度がないか調べてみると良いですよ。

富士見丘学園

こちらの学校には「都立高校同額負担支援制度」という制度があります。「入学金や授業料を都立高校と同額にする」という制度で、基本的に卒業までの3年間の支援です。

学力試験において得点が80%を上回った生徒が対象となり、その中から申請をして入学した生徒だけがこの支援が受けられます。

正則学園高等学校

こちらの学校では「経済援助奨学金A・B」「ひとり親家庭奨学金」という制度があります。
「経済援助奨学金A」は、世帯所得が350万円未満の家庭を対象に授業料などを減免する制度であり、年収によって受けられる支援額は異なります。

「経済援助奨学金B」は、入学後に家庭状況の変化によって学業の継続が難しい場合に授業料を負担してくれる制度です。

「ひとり親家庭奨学金」では、ひとり親世帯で住民税年税額が15万円以下の家庭を対象に授業料などが減免されます。

東洋女子高等学校

こちらの学校では「無償化プラン『everyone』」という制度があります。世帯収入や選択コース、住んでいる地域に関係なく授業料が無償化される支援制度です。

私立の金銭補助制度について

私立高校でも、国や自治体の補助制度を受けることができます。また私立高校の場合、その学校独自の特待生度も設けていますので、そちらもチェックしてみましょう。

授業料実質無償化

2020年に、先に都立高校の制度でご紹介した「高等学校等就学支援金」が改正されました。これによって私立高校でも、世帯所得によっては授業料の実質無料化が実現しています。

支給条件

私立高校に通う高校生がいる世帯で、世帯年収が約590万円未満を目安として支給を受けられます。

支給額

支給額は396,000円です。これは私立高校の平均的な授業料であり、これよりも授業料が高い部分に関しては自己負担ということになります。

受給手続き方法

手続き方法は都立高校の場合と同じです。

自治体独自の支援策

国や各学校の支援策以外にも、自治体が独自で行っている支援策があります。

例えば東京都ですと、年収約760万円未満の世帯の子供が私立高校に通っている場合に約46万円が支給されます。

他の制度と併用ができるかできないかの問題もあるので、ぜひお住まいの自治体の支援制度をチェックしてみてください。

特待生制度

各高校が独自で行っている特待生制度もチェックしておくべきでしょう。ほとんどが成績優秀者を対象にしており、学校によって色々と特徴があります。

例えば東京女子学院高等学校は、「特待S・特待A・特待B」と特待生自体がランクで分けられており、それぞれ支援される範囲が異なります。

また、二松学舎大学附属高等学校は、毎年成績優秀者が5人選ばれ授業料が半額、もしくは全額免除になります。

まとめ

こうした制度を利用すれば、かなり大きな金額を節約できるでしょう。ただし、高校生活は他にも出費がかさみます。高校までの定期代もそうですし、修学旅行の積立金、部活動費、学用品代、寄付金など制度を利用できない部分の出費もありますから、その分のお金も併せて入学前からしっかりと考えておきたいですね。