高校入試の社会の地理分野で出題される範囲に、「海流」に関する問題があります。
海流は日本地理と世界地理の両方で出題されるため、都立高校入試においてよく出る分野です。
問題を解くには海流だけでなく、地理に関する全般的な知識を把握した上で答えを導き出す必要があります。しかし、ただ丸暗記しただけではなかなか得点に結びつきにくい分野と言われています。
この記事では高校入試の対策をするうえで押さえてほしい海流に関する問題の出題傾向と覚えるべきポイントを紹介します。
都立高校入試の海流に関する問題の出題傾向
都立高校入試では大問2で世界地理、大問3で日本地理に関する問題が出題されるので、ここで「海流」の問題が出てきます。
都立高校入試の海流に関する問題の出題傾向としては、海流の名前自体を解答させる問題はあまり出ません。
それよりも地図と問題文をもとに地名などを解答させる問題が多く、海流だけでなく地理全般の知識をもとに答えを導き出す必要があります。
例えば、
東北地方の三陸海岸沖はなぜ好漁場と言われているのか?→暖流と寒流がぶつかる潮目は餌となるプランクトンが豊富だから
上記の問題は「好漁場」という単語が出てきたのでわかりやすかったですが、潮目という単語を答えさせる内容ではなく、上記のような問題が出題される可能性も想定しておきましょう。
このような海流自体の知識と地理全般の知識を絡めて解答させる問題への対策として、参考書だけでなく過去問や問題集で出題傾向を把握してください。
また、上記以外にも地図上の海流や海の名称を解答させる問題も出ます。
例えば
- 地図上の①~④の海流(もしくは海)の名称を答えよ
- この地図の中で暖流・寒流はどれかそれぞれ答えよ
大事なのは海流の名前を覚えているだけではなく、地図と絡めて海流の位置を把握しておくことです。
高校入試の地理の分野では必ず日本・世界地図が載っているので、地図を読み取ったうえで問題を解く必要があります。
海流に関する問題を対策する時に注意するべきこと
ここからは海流に関する問題を対策する時に注意するべきことをまとめました。
暖流と寒流の覚え分け
.4つの海流を覚える上で「暖流」と「寒流」の見極めは避けて通れないので、間違えて覚えないように気をつけてください。
覚え分け方としては「暖流は暖かい南から流れてくる」「寒流は寒い北から流れてくる」というように覚えましょう。
よく出る海流の名称と特徴(日本国内)
日本には主に4つの海流があります。
暖流 | 対馬海流 | 日本海側を南から流れる海流。対馬という島を通過する海流為に対馬海流と呼ばれている。 |
日本海流(黒潮) | 太平洋側を南から流れる海流。海色が黒く見えるため黒潮とも呼ばれてる。 | |
寒流 | リマン海流 | 日本海側を北から流れる海流。 |
千島海流(親潮) | 太平洋側を北から流れる海流。太平洋側の北海道や東北地方に冷害を発生させます。プランクトンを大量発生させるために漁に向いています。 |
上記の4つの海流は、暖流と寒流の2つに分かれています。
暖流の特徴は、周りと比べて温度の高い海水が低緯度(日本でいうと南)から高緯度(北)へ流れる海流です。
寒流の特徴は、周りと比べて温度の低い海水が高緯度(日本でいうと北)から低緯度(南)へ流れる海流です。
潮目・大陸棚
地理の海流を学ぶ上で押さえるべき用語は他にもあります。
潮目:千島海流(親潮)と日本海流(黒潮)がぶつかる三陸大陸の沖合。魚の餌になるプランクトンが豊富なために漁に最適。
大陸棚:海底の深さが200m以内の海域。魚が集まりやすく漁に最適。
潮目・大陸棚に関する問題は、「潮目(大陸棚)がなぜ好漁場と呼ばれるか説明せよ」などのような出題がされることが多いです。
よく出る海流の名称と特徴(世界の海流)
都立高校入試では日本・世界地理の両方から出題されるため、日本だけではなく世界の海流についても押さえる必要があります。
暖流
- 季節風(モンスーン)海流
- 北太平洋海流
- 北大西洋海流
- ブラジル海流
- 北赤道海流
- 南赤道海流
寒流
- ペルー海流
- カナリア海流
- ベンゲラ海流
- カリフォルニア海流
- 西風海流
世界の主要な海流をまとめましたが、海流の名称自体はあまり問われないので覚える必要はありません。出題されるとしても北大西洋海流くらいです。
それよりも「暖流・寒流によって気候や降水量がどう変わるのか?」「海流の流れ」など、この後紹介する内容を押さえるべきでしょう。
世界の海流の流れ
世界の海流が流れる方向も覚えておきましょう。
例えば赤道付近は貿易風が北東から吹いてくるため、海流は東から西へ流れます。また、北半球では時計回りに海流が流れ、南半球では反時計回りに海流が流れます。
世界の海流の天候への影響
世界地理でよく出るのは「ヨーロッパが北海道よりも高緯度なのに温暖な理由」です。これは偏西風の影響から流れる暖流(北大西洋海流)の影響です。北大西洋海流は押さえておいてください。
また、暖流・寒流の気候についても押さえましょう。暖流は海水が暖かく降水量が多く、寒流は海水が寒く降水量が少ないです。
寒流が流れている地域は降水量が少ないため、寒くて乾燥している砂漠ができます。
これは海岸砂漠と呼ばれており、問題としてよく出るのはペルー海流付近のアタカマ砂漠、ベンゲラ海流付近のナミブ砂漠です。
直前期の海流の対策方法
主要な海流の名称を押さえておくのはもちろんですが、「海流によってどんなことが起こるのか?」を意識して勉強しましょう。
海流と気候に関する問題は入試においてよく出ます。例えば暖流と寒流の降水量の違い、海流と季節風による気候の影響などです。
例えば暖流が流れる海岸沿いは温暖で湿度が高く降水量が多い気候になります。一方、寒流が流れる海岸沿いは比較的に寒く降水量が少ないために乾燥しています。
また、海流によって起こる異常気象(エルニーニョ現象とラニーニャ現象)も出題されることが多いです。
降水量や漁業への影響など世界の気候にどのような影響があるのかは把握してください。
まとめ
海流に関する問題は気候や季節風など周辺知識をもとに答えを導き出す必要があるので、地理全体の知識が求められます。
一見すると覚えることが多く大変そうな分野ですが、ある程度出題傾向は決まっているため、ここまででまとめた要点を押さえていれば問題なく対応できます。
海流に関するあらゆる問題に対応できるように過去問や問題演習を通して出題傾向に合わせた対策をしましょう。