「時差」…簡単そうだけど、いざ求めようとするとどうやって良いかわからない…なんて事はありませんか?
地理は知識の量が試されて暗記勝負な教科という面もありますが、時差は計算問題であるというかなり珍しい単元です。
そのため、ただ覚えるだけでは勝負できません。逆に言えば、計算に慣れてしまえば高得点を取ることができる教科です。
この記事で、入試本番で戦うための準備を一緒にしましょう!
基礎知識をおさえよう!時差のキホン
時差を解くために必要な基本知識があります。一度確認してから問題に取り組みましょう。
おさえてほしい基本知識は主に3つあります。
1・緯度・緯線
2・経度・経線
3・日付変更線
緯度・緯線
緯度は簡単にまとめると「地球上でどの位置にあるのか」を表したものです。
さらに詳しくまとめると「赤道を0度として北極から南極までを90度に分けるもの」です。そして同じ緯度を結んだ線が緯線です。
言葉だけでは理解しにくいと思いますので、このことを図にまとめたのがこちらになります。
この図から分かるように緯線は「ヨコの線」です。赤道は0°の緯線です。赤道から北極までの緯度を北緯といい、赤道から南極までの緯度を南緯といいます。
経度・経線
経度も同様に簡単にまとめると「地球上でどの位置にあるのか」を表したものです。
さらにこちらも詳しくまとめると「本初子午線を0度として東側と西側を180度に分けたもの」です。そして同じ緯度を結んだ線が経線です。
言葉だけでは理解しにくいと思いますので、このことを図にまとめたのがこちらになります。
この図から分かるように経線は「タテの線」です。本初子午線は0°の緯線です。本初子午線から西側の経度を西経といい、本初子午線から東側の経度を東経といいます。
そして経度180°を日付変更線といいます。この線を西から東へ越える時に1日遅らせて、東から西へ越える時は1日進ませます。
標準時子午線
その国や地域における標準時刻を定めるための線を標準時子午線といいます。日本の標準時子午線は兵庫県明石市を通る東経135°の経線です。
よく出てくる数字なので覚えておきましょう。
これで完璧!時差の解き方
ここまで、基本知識を見てきました。それでは次に解き方をお伝えします。
時差の問題を解く手順は3ステップです。
1・2つの地域の経度の差を求める
2・経度の差をもとに時差を求める
3・1つの地域の時刻をもとにもう片方の地域の時刻を求める
この3ステップをひとつひとつ詳しくお伝えします。
2つの地域の経度の差を求める
まず1つ目のステップです。どのようにして経度の差を求めるのでしょうか?
経度なので「東経」と「西経」の数値を利用します。ここでルールが2つあります。
1・2つの地域の経度が東経同士、西経同士の場合は引き算で求める
例えば東経150°と東経60°の地域の経度の差は、150°-60°=90°で求めます。
2・片方の地域の経度が東経でもう片方の地域の経度が西経の場合は足し算で求める
例えば東経80°の地域と西経70°の地域の経度の差は、80°+70°=150°で求めます。
このルールをもとに経度の差を求めることができます。
経度の差をもとに時差を求める
次に2つ目のステップです。どのようにして経度をもとに時差を求めるのでしょうか?
ここで公式をご紹介します。
時差=2つの地域の経度の差÷15
先ほどステップ1で求めた値を15で割ると時差が出ます。
例えば東経150°と東経60°の地域の経度の差は、150°-60°=90°で求めたので
公式にあてはめて90°÷15=6となり、時差は6時間です。
どうして15で割るのでしょうか?
経度が15°違うと時差が1時間生じます。
その理由は地球が1日に1回自転をするからです。
1回転は360°ですね。このことにより、地球は24時間(1日)で360°(1回転)回転するので、360°÷24°=15°になるというわけです。
1つの地域の時刻をもとにもう片方の地域の時刻を求める
最後に時刻を求めて終了です。
ステップ2で時差を求めることができたので、あとは簡単です。
例えば東経150°と東経60°の地域の経度の差は、150°-60°=90°で求めたので
公式にあてはめて90°÷15=6となり、時差は6時間になりましたね。
そこで東経150°の地域の時刻が午後5時であったとします。時差が6時間ということを踏まえると、東経60°の地域は午後11時なのでしょうか?それとも午前11時なのでしょうか?
結論からお伝えすると「午前11時」です。
先ほど経度180°の日付変更線のところでお伝えしたことを思い出してください。「日付変更線を西から東へ越える時に1日遅らせて、東から西へ越える時は1日進ませます。」というルールがありましたね。
つまり、東へ行くほど時刻は進んでおり、西に行くほど時刻は遅れているということなのです。
先ほどの東経150°と東経60°の地域の経度を比較すると東経150°の方が東によっていることがわかります。よって求めたい東経60°の地域の時刻を遅らせます。
いかがでしたでしょうか?このステップに沿って進めれば心配する必要はありません。
パターンを掴もう!時差の出題傾向
では高校入試ではどのようなパターンで出題されるのでしょうか?平成28年都立入試に実際に出題された時差の問題で確認してみましょう。
次の略地図中に示した地点Aが2月1日午前7時のとき、1月31日午後10時である地点は略地図中のア~エのうちではどれか。
今回の問題はすでに時刻がわかっているパターンなので、先ほどの3つのステップを反対から行えば簡単に求められます。
時差の問題を解く手順はこちらの3ステップです。
1・2つの地域の経度の差を求める
2・経度の差をもとに時差を求める
3・1つの地域の時刻をもとにもう片方の地域の時刻を求める
しかし今回はこのように反対に進めます。
1・1つの地域の時刻をもとにもう片方の地域の時刻を求める
2・経度の差をもとに時差を求める
3・2つの地域の経度の差を求める
では、ステップ1「1つの地域の時刻をもとにもう片方の地域の時刻を求める」です。
「地点Aが2月1日午前7時のとき、1月31日午後10時である地点」と問題文に書いてあるので、ここのステップは時刻を確認出来たら完了です。
次に、ステップ2「経度の差をもとに時差を求める」です。
2月1日午前7時と1月31日午後10時の時差を求めます。この時にポイントなのが24時間表記で表わすということです。このことにより、見やすく解きやすくなります。
2月1日7時-1月31日22時=9時間
このように計算し、時差は9時間であることがわかります。
最後に、ステップ3「2つの地域の経度の差を求める」です。
時差が9時間ということがわかっているので15°(1時間の時差が生じる経度の大きさ)をかけて経度の差を求めましょう。
9時間×15°=135°
経度の差は135°であることがわかります。
問題文を確認すると、2月1日午前7時の地点Aは東経135°です。また、地点Aのほうが時刻が進んでいることが分かります。このことにより、求めたい地点は地点Aより135°西にあります。
つまり、答えはイになります。いかがでしたでしょうか?
3ステップに従えば簡単に解けたと思います。しかし、この問題のようにステップを1から順番に解くことができないものもあります。
そのため、様々な問題に取り組み対応できる幅を広げましょう。
複雑な問題でも大丈夫!時差の必勝法
今まで解き方までお伝えしてきましたが、実際の入試問題で高得点を取りたいですよね。
しかし入試問題では、単純に解ける問題から複雑になっている問題まで様々です。難易度の高い問題では、飛行機の乗り換え時間や具体的な国名が出てきたりします。
そんな難易度の高い問題にあたったときに重要なのが「世界地図をイメージすること」です。
例えば、日本が夜中の時にアメリカは朝ですね。それはなぜでしょうか?理由は単純で日本の方がアメリカより東に位置しているからです。
このように複雑な問題の時こそ、問題のイメージを抱くことが大切です。世界地図によって空間のイメージができていれば、乗り換え時間や遅延というワードが入ってきても柔軟に対応できます。
まとめ
時差は計算を伴うため、他の単元と異なり多くの受験生が抵抗感を抱いてしまいます。しかし、この記事を読んでくださった皆さんなら大丈夫です。
3つのステップに沿って解けば入試本番でも高得点間違いなしです!しっかりと準備して本番に挑みましょう。