「不定詞がよく分からない、そもそもなにが不定詞なのか分からない……。」
これは、そんなあなたにこそ読んでほしい記事です。
不定詞は中学3年間にわたって少しずつ勉強するので、教科書を追っていても全体像がなかなか見えてこないのが難しい理由ではないでしょうか。
この記事では、不定詞についてまとめて解説します!
不定詞とは
不定詞とは「to+動詞の原形」の形をとった表現のことで「to 不定詞」とも呼ばれます。
動詞の原形に to を付けることで、動詞に名詞、副詞、形容詞のような用法を持たせることができます。
このように、動詞でありながら1つに定まらないさまざまな用法を持っているので「不定詞」と呼ばれています。
to の後に続く動詞は必ず「原形」であることを大前提として押さえておきましょう。
不定詞の用法
不定詞の用法は、大きく3種類に分けられます。
用法によって訳し方が変わるので、しっかり区別できるようになりましょう。
- 名詞的用法 ~~すること/~~するのは……です
- 副詞的用法 ~~するために/~~して
- 形容詞的用法 ~~するための/~~すべき
では、それぞれの用法について詳しく解説していきます。
名詞的用法
不定詞の名詞的用法は「~~すること/~~であること」という意味を持ちます。
I want to win the game.
のように、want, try, needといった動詞のあとに不定詞を置くと名詞的用法をとります。
「want to~~」で「~~したい」という意味になることは中1の範囲で学習しますが、実はこれも不定詞の用法の1つなのです。
ここでは「to win」以下のひとまとまりが名詞のような役割をして、「~~すること」という意味を持ちます。
直訳すると「私は試合に勝つこと(to win the game)を望んでいる」となり、これをなめらかな日本語にすることで「私は試合に勝ちたい」という訳になるのです。
副詞的用法
続いて、不定詞の副詞的用法について見ていきましょう。
不定詞の副詞的用法では「~~するために/~~して」という意味を持ちます。
例文を見てみましょう。
We use computers to do many things.
I am surprised to hear it.
これらの文では、不定詞は他の動詞や形容詞を修飾する副詞のような役割をしています。
そのため、不定詞の前後で文を区切っても意味が成り立つことが多いです。
We use computers / to do many things.
私たちはコンピュータを使う/たくさんのことをするために
I am surprised / to hear it.
私は驚いている/それを聞いて(感情の原因を表している)
このように、不定詞の前後で区切って動詞や形容詞につながる場合は副詞的用法です。
形容詞的用法
3つめは形容詞的用法です。
これは不定詞のすぐ前の名詞を修飾して「~~すべき/~~するための」という意味を持ちます。
We have many things to do.
この文では、不定詞がすぐ前の「things」という名詞を修飾しています。
他の語句を修飾するという意味では副詞的用法と似ています。
しかし副詞は動詞や形容詞を修飾するもので、名詞を修飾するのは形容詞であることから区別されています。
文章中での不定詞の扱い方
これまで、不定詞の3つの用法を見てきました。
ここからはもう少し複雑な文章中での不定詞の扱い方を解説していきます。
疑問詞の後にも付けられる
文中に疑問詞と不定詞の両方が出てくることがありますが、不定詞はhowやwhatといった疑問詞の後にも置くことができます。
疑問詞の後に不定詞を置くと「疑問詞+不定詞」でひとつの名詞のような役割になります。
これは3つの用法とは区別して、特殊なケースとして覚えておくと良いでしょう。
- how to どのように~~するか
- what to 何を~~すべきか
というように、くっつく疑問詞に応じて訳し方はさまざまですが、いずれも名詞のまとまりを作っていることを押さえておきましょう。
不定詞に続く語句はひとまとまりとして扱う
用法によらず、不定詞の後に続く語句は、不定詞とひとまとまりのものとして扱います。
不定詞の名詞的用法で挙げた例文を改めて見てみましょう。
I want to win the game.
不定詞は元が動詞なので、不定詞の後ろには目的語や補語が付くことがあります。
そうした「不定詞の中の動詞」に付随する内容も、「全体の文章の中のひとまとまり」として扱われます。
この文の中で不定詞は名詞的用法をとるので、「to win the game」という部分はひとまとまりの名詞句を作っていますね。
しかし、このひとまとまりの中に注目すると、ちゃんと「不定詞の中の動詞」が目的語を伴っていることがわかります。
少しややこしいかもしれませんが、複雑な文になればなるほど、こうした関係性を捉えることが読解のカギになってきます。
文を分解して、その中の構造を考える練習をしておきましょう。
「不定詞の中の動詞」の主語を見極める
不定詞のまとまりの中にある文章構造について考えたところで、今度はもう一段踏み込んでみましょう。
不定詞のまとまりの中にある動詞に、目的語や補語が付くことは学びましたね。
では、その動詞の主語が付くことはないのでしょうか?
ここでは「文章全体の主語」と「不定詞の中の動詞に対応する主語」の区別についてご説明します。
次の2つの例文を見てみましょう。
- I want to clean the room.
- I want you to clean the room.
この2つはいずれも名詞的用法ですが、誰が「clean the room」の主語になるかが異なっています。
1は「私は部屋を掃除したい」
2は「私はあなたに部屋を掃除してもらいたい」
という意味の文ですね。
1は「文章全体の主語」も「不定詞の中の動詞に対応する主語」も「私」ですが、2はそうではありません。
2は「文章全体の主語」は「私」ですが、「不定詞の中の動詞に対応する主語」は「あなた」です。
このように、文章全体の動詞と名詞的用法の不定詞との間に「人」が置かれると、不定詞の中の動詞の主語が変わってきます。
こうした例は、次のような形でよく見られます。
- It is …… (for 人)to 動詞の原形
- want (人) to 動詞の原形
- let [help] (人)動詞の原形 ※この場合はtoが付かない(原形不定詞)
(人)の部分に人を表す単語が置かれると、それが「不定詞の中の動詞に対応する主語」になります。
不定詞の前に「人」が置かれるかどうかで「誰がやるのか」が変わってくることを押さえておきましょう。
不定詞の問題を解いてみよう
それでは練習として、例題を解いてみましょう。
“次の英文を和訳しなさい。
また、英文中の不定詞の用法を答えなさい。
(1)I’m very happy to hear that news.
(2)She gave me something to eat.
(3)It is important to sleep.”
では、早速解いていきましょう。
(1)は不定詞を目的語にとる動詞もなく不定詞の前後で文を区切っても文章が成り立つことから、副詞的用法だと考えられます。
さらにhappyという語があるので、感情の原因を表す「~~して」という訳があてはまります。
よって、答えは「私はそのニュースを聞いてとてもうれしいです。」という訳になります。
(2)こちらは不定詞の直前に名詞があり、不定詞はそれを修飾しているので形容詞的用法です。
「彼女は私に何か食べるものをくれた。」という和訳になります。
(3)はItという代名詞の中身を表す名詞的用法の不定詞なので、「~~すること」という意味になります。
和訳すると「寝ることは大切です。」となります。
不定詞の勉強方法
問題の感覚がつかめたところで、勉強方法をまとめましょう。
文章の中から不定詞のひとまとまりを洗い出そう!
不定詞の3つの用法がわかっても、文章中での役割をきちんと捉えることは難しいです。
そのためまずは、文章全体の中で不定詞はどれか、その不定詞とひとまとまりになる部分はどこなのかを読み取れるようにしましょう。
不定詞のまとまりがどの部分かわかったら、次はその中で主語の役割をしているのは誰なのか、目的語や補語の役割をしているのは何なのかを考えてみます。
このプロセスをきちんと踏んでいけば、複雑そうな文章も簡単な構造に分解していけます。
慣れてくればいちいち書き出さなくても英文を理解できるようになるので、めげずに練習を重ねてみてくださいね。
不定詞の直前対策法!
それでは具体的に、不定詞の直前対策としてどのようなことに取り組めば良いのでしょうか?
どの用法なのか判断する練習を!
不定詞の3つの用法のどれにあてはまるのかで訳し方は変わってきます。
どの用法にあてはまるのか、練習問題をこなして判断できるようになっておきましょう。
基本に立ち返って文章の構造を見直す!
不定詞の前後に置かれる単語によって、不定詞の動詞に対応する主語、目的語、補語にあたる内容が付加されます。
どの位置に置かれた言葉がどんな意味を持つのか、改めておさらいした上で試験に臨みましょう。
まとめ
中学3年間かけて段階的に学ぶ不定詞は、英語の中でもそれだけ重要な表現だということです。
そして、中1や中2までの段階で不定詞が苦手だったという人も、心配する必要はありません。
そもそも中3までかけて学ぶ内容なので、学びきった段階で総括的に復習して初めてしっかり理解できるものだと割り切りましょう。
この記事で全体像がつかめたら、3冊の教科書の中から不定詞に関するところだけ抜き出して、思い切って一気におさらいしてみましょう。
きっと、これまでの苦手意識をまとめて得意分野に変えられます!