中学1年化学で「水溶液」を学習します。高校入試でも「濃度を求めよ」「溶けている食塩の量を求めよ」といった問題が頻出です。
水溶液は濃度を求める計算が非常に大切です。ここで、全体・部分・割合の関係を理解することは、中学で学ぶこと全ての基本とも言えます。
しっかり学んで身につけておきたいところですからこのページを参考に整理してください。
高校入試の「水溶液」の範囲で押さえておくべき事項
「水溶液」では以下のような事項をおさえておく必要があります。
- 溶質、溶媒、溶液
- 水溶液
- 水溶液の性質
- 具体的な水溶液
- 濃度
順を追って説明します。
溶質、溶媒、溶液
食塩や砂糖が水に溶けるのを目にしたことがあると思います。このように液体に何かが溶ける現象を「溶解」と言います。
溶解に関しては、次のような用語があります。
- 溶質→溶けている物質(例えば食塩)
- 溶媒→溶かしている液体(例えば水)
- 溶液→溶質が溶媒に溶けてできた液体(例えば食塩水)
水溶液
溶媒が水である場合、その溶液を特に「水溶液」と言います。そのため、食塩水は水溶液です。
中学で扱う溶液は主に水溶液です。
水溶液の性質
水溶液には次のような性質があります。
まず、水溶液は透明なため光を透過させます。
透明と言われるものは、無色透明なものだけではありません。色がついていても光を通せば透明です。例えば、硫酸銅水溶液は青色がついていますが光を通します。そのため青色透明と言えるのです。
また、水溶液はどの部分をとっても一様という性質があります。つまり、上の方の溶液が底の方の溶液より薄い・濃いということはありません。
具体的な水溶液
中学理科で覚えておかなくてはいけない水溶液の具体例とその性質を挙げます。
名前 溶質 特徴
食塩水 食塩
塩酸 塩化水素 刺激臭がする
アンモニア水 アンモニア 刺激臭がする
硫酸銅水溶液 硫酸銅 色が青い
塩化銅水溶液 塩化銅 色が青い
石灰水 水酸化カルシウム 二酸化炭素を通すと白く濁る
濃度
溶液の濃さを「濃度」と言います。
濃度の表し方にはいくつか種類があります。そのうち、溶液の質量に対する溶質の質量の割合をパーセントで表した濃度を「質量パーセント濃度」と言います。
中学で「濃度」といえば「質量パーセント濃度」を指します。
中学理科においては、濃度を求められるということがとても大切です。濃度を求める式は次の式です。
「濃度(%)」=(「溶質の質量(g)」÷「溶液の質量(g)」)×100
また、この式を変形して
「溶質の質量(g)」=「溶液の質量(g)」×(「濃度」÷100)
溶質の質量を求めよ、とよく問われるのでこの式もすぐ出てくるようにしておきましょう。
水溶液の問題のポイント
水溶液の問題には「濃度を求めよ」「溶けている食塩の量を求めよ」といったパターンがあります。以下に例題を挙げるのでやってみましょう。
水溶液の例題
水溶液の問題は、以下のような4つのパターンに分類できます。
- 濃度を求める
- 溶けている食塩の量を求める
- 水溶液と水、水溶液と水溶液を混合する
- 水を蒸発させる
濃度を求める
<例題>25gの食塩が100gの水に溶けている。この水溶液の濃度を求めよ。
<答え>溶質が25g、溶媒が100g。溶液は25g+100g=125gです。
濃度の式に代入して
濃度=(25g÷125g)×100=20%
溶液と溶媒を取り違えて100gで割ってしまう間違いが多いので注意です。
「溶液」=「溶質」+「溶媒」ですね。
溶けている食塩の量を求める
<例題>濃度20%の食塩水が100gある。この食塩水には食塩が何g溶けているか。
<答え>溶液が100g、濃度が20%です。溶質の質量を求める式に代入して
溶質=100g×(20÷100)=20g
水溶液と水、水溶液と水溶液を混合する
水溶液・濃度の問題に混合するという問題があります。
まず、水溶液と水の混合の問題。
<例題>濃度20%の食塩水100gに、水100gを混ぜた。混合後の食塩水の濃度はいくらか。
<答え>混合前の食塩水に溶解している食塩の質量は
溶質=100g×(20÷100)=20g
溶質の質量は混合後も変わらず20gです。
混合後の溶液の質量は
100g+100g=200g
したがって、混合後の食塩水の濃度は
濃度=(20g÷200g)×100=10%
混合前と混合後をよく区別して考えましょう。
次は、水溶液と水溶液の混合。
<例題>濃度20%の食塩水100gに、濃度10%の食塩水100gを混ぜた。混合後の食塩水の濃度はいくらか。
<答え>20%の食塩水に溶けている食塩の質量は
溶質=100g×(20÷100)=20g
10%の食塩水に溶けている食塩の質量は
溶質=100g×(10÷100)=10g
したがって、混合後の溶質の質量は
20g+10g=30g
混合後の溶液の質量は
100g+100g=200g
したがって、混合後の食塩水の濃度は
濃度=(30g÷200g)×100=15%
溶質も溶液も、混合前のモノを足したものが混合後のモノです。間違わないように丁寧に追いかけましょう。
水を蒸発させる
最後に水を蒸発させるというパターンです。
<例題>濃度20%の食塩水が100gある。今この食塩水から水が20g蒸発して、80gの食塩水になった。蒸発後の食塩水の濃度はいくらか。
<答え>蒸発前の溶液に溶けている食塩の質量は
溶質=100g×(20÷100)=20g
これは蒸発後も変化しません。
蒸発後の溶液の質量は80g。
したがって求める濃度は
濃度=(20g÷80g)×100=25%
水が蒸発しても溶質の質量は変化しないことがポイントです。
水溶液の勉強法
水溶液の学習において次のことが大切です。
濃度の式・溶質の質量の式はしっかり覚える
濃度を求める式・溶質の質量を求める式はしっかり覚えましょう。
もう一度書いておきます。
- 「濃度(%)」=(「溶質の質量(g)」÷「溶液の質量(g)」)×100
- 「溶質の質量(g)」=「溶液の質量(g)」×(「濃度」÷100)
溶液に対する溶質の割合が濃度ですね。
王道の4パターンの問題に繰り返し取り組む!
先ほどご紹介した4つのパターンの問題に取り組むことが大切です。
- 濃度を求める
- 溶けている食塩の量を求める
- 水溶液と水、水溶液と水溶液を混合する
- 水を蒸発させる
これらによく慣れておきましょう。そのためには濃度の式・溶質の質量の式を使いこなせないといけません。練習問題を繰り返して確実にできるようにしておきましょう。
濃度の式の分母において溶液と溶媒を取り違えない!
特に濃度を求める式の分母について、溶液と溶媒を取り違えることが多いです。そこは要注意です。
(例)食塩20gを水100gに溶かした。この食塩水の濃度を求めよ。
(20g÷100g)×100=20%これはマチガイ!
濃度の式の分母は溶液。「溶液」=「溶質」+「溶媒」=20g+100g=120g
(20g÷120g)×100=16.7%が正しい濃度。
まとめ
- 「溶質」「溶媒」「溶液」「水溶液」の意味を正確に覚える
- 濃度の式・溶質の質量の式を覚え、自在に扱えるようにする
- 水溶液の問題の4パターンに慣れる。繰り返し練習問題をする。
- 特に濃度の式の分母には気をつける。