中学理科の最初の単元では、観察を通して植物の特徴を学んでいきますね。
しかし、植物の特徴を捉え分類していく中で「なんとか植物」という言葉がどんどん増えて、頭が混乱してしまいがちです。
この記事では、植物の種類をすっきり覚えるコツをお届けします。
植物の種類とは
植物の種類は、次の表のように分類されます。
表の左から右へ行くにつれ、より細かく分類されていきます。
表だけ眺めていてもなかなか頭に入ってこないと思いますので、一つひとつ分類の仕方を確認していきましょう。
植物の種類を理解する上で覚えておきたいポイント!
ここからは植物の種類を理解するために押さえておきたいポイントをご紹介します。
- ポイント①植物とは?
- ポイント②種子植物は子房の有無で見分ける!
- ポイント③被子植物を見分けるポイントはいくつかある!
- ポイント④双子葉類は花弁の付き方に注目!
- ポイント⑤ここまでの分類をフローチャートにしてみよう
では、順番に見ていきましょう。
ポイント①植物とは?
植物とは、草や木のように根を張って生きているため自分では動けない生物のことです。
生物は大きく動物と植物に分けられる、これは皆さんご存じですよね。
このうち、植物は大きく2種類に分類されます。
- 種子植物(しゅししょくぶつ):種子でなかまをふやすもの
- 種子植物以外の植物:種子ではなく胞子などでなかまをふやすもの
要は「種子植物か、それ以外」です。
それ以外と言ってしまえるほど種子植物が多いことがよくわかりますね。
種子植物以外の植物としてよく出るのは、コケ植物、シダ植物(イヌワラビなど)です。
こちらの方が数が少ないので、覚えておきましょう。
ポイント②種子植物は子房の有無で見分ける!
ポイント①で見たように、多くの植物は種子をもつ種子植物です。
このうち、種子の元である胚珠がむき出しのものを「裸子植物」といい、胚珠が子房に包まれているものを「被子植物」といいます。
植物の器官の中で、受粉すると名称が変わるものがありましたね。
つまり、胚珠がむき出しで子房をもたないものは、受粉後に果実ができることもありません。
それでは、「裸子植物」「種子植物」それぞれについて見ていきましょう。
裸子植物
胚珠がむき出しで子房をもたないものを裸子植物といいます。
裸子植物にはスギ、ソテツ、マツ、イチョウなどがあります。
子房がないので、受粉のとき花粉は直接胚珠にくっつきます。
ほとんどが風によって花粉が運ばれる「風媒花(花粉の運ばれ方による分類)」です。
裸子植物は直接胚珠に花粉が付く構造なので虫に花粉を運んでもらう必要がなく、それゆえ花や色、形で目立つ必要もありません。
被子植物
一方、胚珠が子房に包まれているものを被子植物といいます。
被子植物にはアブラナ、サクラ、エンドウ、ツユクサ、ユリなどがあります。
構造上花粉が直接胚珠に付かないため、風ではなく虫に花粉を運んでもらう「虫媒花」が多いと覚えましょう。
ポイント③被子植物を見分けるポイントはいくつかある!
被子植物は、さらに「単子葉類」と「双子葉類」に分けられます。
どちらであるかを見分けるポイントは以下の通りです。
- 葉脈の形
- 茎の維管束
- 根の様子
- 花弁の数
- 子葉の枚数
葉脈の形
葉脈とは葉に通っている筋のようなものです。
この葉脈が平行に走っていれば平行脈、網状に広がっていれば網状脈といいます。
単子葉類の葉脈は平行脈、双子葉類の葉脈は網状脈をしています。
茎の維管束
維管束は、茎に通っている管のようなものです。
葉脈と似ているように思えますが、実は葉脈は茎の維管束が葉へ枝分かれしたものを指しています。
茎にあるのが維管束、葉にあるのが葉脈と覚えましょう。
そして茎の断面を見たときに、維管束がばらばらに分布しているか、輪のように並んでいるかも被子植物の分類における1つのポイントです。
根の様子
被子植物の種類は根の様子によっても判断できます。
単子葉類であれば根がひげのようにばらばらに伸びた「ひげ根」をしており、双子葉類ならメインの太い根(主根)から細い根(側根)が伸びているため「主根と側根がある」といいます。
花弁の数
単子葉類の花弁の数は3枚か6枚が多く、双子葉類の花弁の数は4枚~5枚、またはその倍数であることが多いです。
しかし、花弁とがくの見分けがつきにくいものや例外もいくつかあるので、他の要素で判断したほうが確実です。
子葉の枚数
子葉、つまり植物が芽吹いたときに最初に出てくる芽の数が最大のポイントです。
これが1枚なら子葉が単つ(ひとつ)なので単子葉類、2枚なら子葉が双つ(ふたつ)なので双子葉類になります。
ここまで見てきた被子植物を見分けるポイントを表にまとめると、次のようになります。
ポイント④双子葉類は花弁の付き方に注目!
これまで植物の分類を3回行ってきましたが、ポイント③で見た双子葉類はさらに「合弁花類」と「離弁花類」に分けられます。
まだあるの?と思うかもしれませんが、もうひとふんばりです。
花弁どうしが根元でくっついているものを「合弁花類」といい、アサガオ、ツツジ、タンポポなどがあります。
そして花弁どうしが離れているものを「離弁花類」といい、アブラナ、サクラ、バラなどが挙げられます。
タンポポは特に離弁花類と間違いやすいので注意しておきましょう。
これさえ見ればわかりやすい!植物の分類をフローチャートにしてみよう
それでは、ここまでの分類をフローチャートにしてまとめましょう。
このチャートに沿って分類していけば、植物の種類分けはバッチリです!
実際にどのような問題が出題されるのか?
それでは実際の入試問題を解いてみましょう。
以下の問題は、平成28年度都立高校入試の大問4から抜粋したものです。
“植物の体のつくりの<観察>を行ったところ、<結果>のようになった。
<観察>
校庭にあるアサガオの葉をとり、ルーペで観察し、スケッチした。
<結果>
校庭にあるアサガオは、並葉の個体と丸葉の個体の2種類だけであり、観察した葉のつくりは、どちらも図1のように網状脈だった。
<結果>から、アサガオの茎の維管束や根のつくりとして適切なのは、次のうちどちらか。
(a)維管束は全体に散らばっており、主根はなく、細い根が広がっている。
(b)維管束は輪のように並んでおり、主根を中心に側根が伸びている。”
では、早速解いていきましょう。
葉のつくりが網状脈なのは、双子葉類の特徴でしたね。
双子葉類の特徴には他にも、維管束が輪のように並んでいること、根は主根と側根からなることが挙げられます。
よって、正解は(b)となります。
植物の種類の勉強方法について
問題の感覚がつかめたところで、勉強方法をまとめましょう。
大分類から順を追って考えよう
一度にすべての「〇〇植物」という単語を覚えようとすると大変です。
植物とは?種子植物とは?被子植物は?双子葉類は?・・・と、より大きな分類から順を追って考えるようにしましょう。
植物の写真も見ながら覚えよう
出題される植物には身近なものが多いです。
植物の名前だけではなく、写真も活用して見た目と一緒に覚えておきましょう。
先人も観察を通して分類してきたので、見た目が思い出せると分類の取っ掛かりも思い出しやすくなります。
植物の種類の直前対策法!
それでは具体的に、植物の種類の直前対策としてどのようなことに取り組めば良いのでしょうか?
被子植物の分類ポイントを押さえる!
分類ポイントが一番多いのは、被子植物を単子葉類と双子葉類に分類するときです。
葉脈の形、茎の維管束、根の様子、花弁の数、子葉の枚数のいずれが出てもきちんと分類できるよう、ポイント③の表をよくおさらいしておきましょう。
シダ植物やコケ植物の特徴を覚えておこう!
植物の多くは種子植物に分類されますが「種子植物以外の植物」の代表例であるシダ植物やコケ植物についてもよく出題されます。
数が少ない分覚えやすいので、しっかり頭に入れておきましょう。
- シダ植物:維管束があり、根、茎、葉の区別がある。
- コケ植物:維管束がない。根、茎、葉の区別もない。
まとめ
植物の種類について、特徴と名称がおわかりいただけたでしょうか?
すべて丸暗記で乗り切ろうとすると混乱しがちなので、フローチャートで順を追ってだんだん細かく分類していくことがすっきり理解するコツです。