中学社会・地理分野で習う「リアス式海岸」は、高校入試でもよく出てくる単語のひとつです。
島国である日本は海岸線が多いため、リアス式海岸もあちこちに見られます。
リアス式海岸の特徴から日本のどこにあるのかまで、この記事でまとめて学んでいきましょう!
リアス式海岸とは
リアス式海岸とは小さな岬と湾が入り組んだ海岸です。
「のこぎり状」のように表現されることもあります。
波が穏やかで水深も深い天然の良港であるため漁業が活発です。
主に貝やわかめなどの養殖が盛んに行われています。
漁港の周辺には水産物を加工する工場も集まっているため、リアス式海岸の近くには食品工場が多いことも押さえておきましょう。
リアス式海岸周辺の食品工場では、かまぼこやちくわといった練り物・魚やイカなどの干物・塩漬けのわかめ・魚介の缶詰などが多く生産されています。
日本の海岸
まず、リアス式海岸を含む日本の海岸について学んでいきましょう。
日本は島国なので、他の国と地続きの境界線をもっておらず、領土はすべて海に囲まれています。
そのため、日本の地理を理解するには海岸について知ることが大切です。
日本にはさまざまな海岸があり、その多くは山地が海に迫った海岸です。
その中でも、小さな岬と湾が入り組んだ海岸をリアス式海岸といいます。
他には、長い砂浜が続く砂浜海岸やサンゴ礁に囲まれた海岸などがあり、海岸線の長さゆえにその種類も豊富です。
このように自然に出来た海岸には景色が美しい場所も多く、観光資源として活用されているところもあります。
人工海岸
海岸の種類としては、人工的に作られた人工海岸もあります。
人工海岸になるのは、もともと海だった場所を人間が陸地として使用するために整備した場所です。
具体例としては
- 埋め立てをして港や工業地帯が作られたところ
- 干拓によって農地が拡大されたところ
といった場所が人工海岸として挙げられます。
こうした人工海岸は、コンクリートの護岸が作られ、海岸線が直線状になっているのが特徴です。
日本のリアス式海岸とその特徴
それでは、日本にはどんなリアス式海岸があるのか見ていきましょう。
主なリアス式海岸を地方ごとにご紹介します。
九州地方
九州の北西部、長崎県のあたりはリアス式海岸になっています。
天然の良港という特徴をもつリアス式海岸に加え、その西側に大陸棚が広がる海域をもっているため、全国でも有数の漁獲量を誇ります。
近畿地方
近畿地方は、日本海側と太平洋側の両方でリアス式海岸が見られます。
日本海側は京都府から福井県にかけての若狭湾、太平洋側は三重県の志摩半島がリアス式海岸です。
三重県ではリアス式海岸を活用した真珠の養殖が盛んです。
一方、近畿地方には人工海岸も多く見られます。
兵庫県南西部の播磨灘や大阪府西部の大阪湾が人工海岸です。
このあたりは阪神工業地帯であり、工場などを建てるために埋め立てが行われ、人工海岸となりました。
東北地方
東北地方は、太平洋側の三陸海岸がリアス式海岸です。
三陸海岸は青森県・岩手県・宮城県にまたがるとても長い海岸で、とくに南部の岩手県~宮城県のあたりにリアス式海岸が多く見られます。
リアス式海岸の特徴のとおり、波が穏やかな入り江となっているため漁業が盛んです。
かきやわかめなどの養殖業をはじめとし、ほたてなど三陸沖で獲れる海産物はとても豊富です。
一方、東北地方の日本海側は海岸の種類が異なり、砂浜海岸が多く見られます。
高校入試のリアス式海岸に関する問題の出題傾向
リアス式海岸についてつかめたところで、高校入試での出題傾向を見てみましょう。
都立高校入試では、リアス式海岸という言葉が問題の中でしばしば使われています。
自然環境と農業・漁業の関わりについての文章を読んで、都道府県や都市を選ぶといった問題が多いです。
そのため、リアス式海岸周辺の産業や漁業の特徴と合わせて覚えておきましょう。
また、日本の代表的なリアス式海岸がどこにあるのか押さえておくと良いでしょう。
リアス式海岸の入試問題を解いてみよう
それでは実際の入試問題を解いてみましょう。
次の問題は平成30年度都立高校入試の大問3から抜粋したものです。
“次の略地図を見て、あとの各問に答えよ。
次の表のア~エの文章は、略地図中に網掛けで示した、A~Dのいずれかの県の自然環境と農業の様子についてまとめたものである。A~Dの県のそれぞれに当てはまるのは、次の表のア~エのうちではどれか。
”
では、さっそく解いていきましょう。
まずアから順番に表を見ていきます。
アの「海岸部には複雑に入り組んだ海岸線が見られ」という記述から、リアス式海岸のある県だと狙いが付けられます。
そこで略地図を見ると、Aの岩手県とDの長崎県のどちらかだと絞れます。
続いて読み進めると「西部には南北方向に山脈が走り」や「夏季には~~北東の風が吹き込み、冷害」、「夏季の冷涼な気候」と書かれているので、Aの岩手県が合致します。
次にイを見ていきましょう。
残るB~Dのうち「多数の半島や島々が見られ」るのはDの長崎県ですね。
続いてウです。
BとCのうち、Bは北側が海になっているので、 「北部には東西方向に山地が見られ」という記述に合うのはCです。
Cの高知県には台風の通過もよく見られます。
そうすると、エは残る選択肢であるBの鳥取県になりそうです。
ここでエの文章を確認すると「冬季には北西から吹く風の影響で積雪」とあるので日本海側に位置するBに合致します。
「砂丘が広がる」のも鳥取県ならではですね。
よって、答えは A:ア B:エ C:ウ D:イ となります。
リアス式海岸についての記述だけで「アは長崎県だ!」と思い込まないように気をつけましょう。
リアス式海岸は日本の各地にありますよ。
リアス式海岸の直前対策法!
それでは具体的に、リアス式海岸の直前対策としてどのようなことに取り組めば良いのでしょうか?
特徴と産業を関連付けて覚える!
リアス式海岸は、ぎざぎざした海岸線という形状が特徴的です。
まずこの形状についての記述がないかどうか、よく問題文や表を読みましょう。
そしてその形状から天然の良港となっているので、漁業や海産物の加工といった産業が盛んです。
こうした産業についての記述からリアス式海岸のある都市を選ぶ問題もありますので、特徴と産業を関連付けて覚えておきましょう。
まとめ
リアス式海岸が理解できたでしょうか?
リアス式海岸についての記述は高校入試でもよく見られます。
特徴をつかんで得点源にしましょう!