中学社会・地理で避けては通れない「三角州」。
この記事では地形の成り立ちから丁寧に解説して、着実な理解をサポートします!
三角州とは
三角州とは、川の河口部に土砂がたまってできた地形です。
水がたまりやすい(水はけが悪い)という特徴があるため、昔から水田として利用されてきました。
近年では人口増加にともない、住宅地としての利用も多くなっています。
その形状がギリシア文字のデルタ(Δ)に似ていることから、三角州はデルタとも呼ばれます。
三角州の成り立ち
三角州は川がつくる地形の1つです。
まずはその三角州の成り立ちから見ていきましょう。
山から流れ出す川は上流で山を削り、そのときに生じた土砂は川の流れに乗って下流まで運ばれていきます。
上流では山の斜面に沿って流れるため川に勢いがあり、土砂はあまり堆積することなく運ばれていきます。
ところが、川の流れが平野部にさしかかって勢いが弱まると、粒の大きな砂や石は運べません。
運ばれなくなった粒の大きな砂や石はそこで堆積し、どんどんたまって扇状地ができます。
そして平野や盆地でも堆積しなかった粒の小さな砂や泥は、さらに下流まで運ばれます。
そうして運ばれた粒の小さな砂や泥は、川が海に流れ出る河口部でようやく堆積します。
この河口部で砂や泥が堆積してできた土地が三角州です。
三角州の特徴と活用方法
三角州は粒の小さな砂や泥でできているので、水が地下にしみこみにくいという特徴があります。
そのため三角州では水をためておきやすく、昔から水田によく利用されてきました。
また、三角州ができるのは川の河口部なので、海や港に近いという立地の特徴もあります。
海や港の近くは、工場が建てやすく漁業や貿易業なども活発に行えるため、人が多く集まりやすい場所だと言えるでしょう。
それゆえ近年では、水田のほかに住宅地として三角州を活用しているところも増えています。
代表的な三角州
それでは、三角州の代表例をいくつか見てみましょう。
世界的に有名な三角州にはエジプトのナイル川デルタがありますが、日本には次のような三角州があります。
- 淀川の三角州(大阪府)
- 太田川の三角州(広島県)
- 馬場目川の三角州(秋田県)
- 恋瀬川の三角州(茨城県)
このうち、淀川と太田川の三角州は住宅地として開発され、大阪と広島という大都市になっています。
淀川
太田川
(Googleマップより)
一方、馬場目川と恋瀬川の三角州では水田が多く見られます。
馬場目川
恋瀬川
(Googleマップより)
おおまかな傾向として、都市部の三角州は住宅地、地方の三角州は水田として利用されることが多いようです。
三角州と扇状地の違い
それでは、同じように川がつくる地形として、三角州と混同しやすい扇状地との違いを整理しておきましょう。
三角州と扇状地には、次の3つの大きな違いがあります。
- できる場所
- 特徴
- 土地の利用方法
これらの違いを表にまとめて整理しておきましょう。
こういった違いがあることをおさえ、混同しないようによく覚えておくことが大切です。
https://kokojuken.com/blog/ss-senjyoti
三角州の入試問題を解いてみよう
それでは、実際の入試問題を解いてみましょう。
次の問題は、平成29年度都立高校入試大問3から抜粋したものです。
“次の略地図を見て、あとの問に答えよ。
[問]次のア~エの文章は、略地図中にA~Dで示したいずれかの都市とその都市を流れる河川の様子をまとめたものである。略地図中のAに当てはまるのは、次のア~エのうちではどれか。ア
この都市は、標高1339mの山を水源とし、例年、梅雨前線の影響を受ける時期の水の流量が最も多く、流域面積1710㎢の河川の河口に位置する。三角州上に築かれた城下町は政令指定都市へと発展し、分流する一部の河川の河岸には遊歩道が整備され、「水の都」と呼ばれている。
イ
この都市は、標高1840mの山を水源とし、例年、台風の影響を受ける時期の水の流量が最も多く、流域面積16840㎢の河川の河口に位置する。近海の潮目(潮境)は好漁場となり、漁港として栄え、いわしなどの漁獲量は現在も日本有数を誇り、鮮魚を提供する商店が立地している。
ウ
この都市は、標高452mの山を水源とし、例年、梅雨前線の影響を受ける時期の水の流量が最も多く、全長107kmの河川の河口に位置する。冬季でも温暖な気候を生かし、この都市の中心部には南国風の花や、椰子(やし)などの街路樹が植えられている。
エ
この都市は、標高2035mの山を水源とし、例年、雪解けの時期の水の流量が最も多く、全長229kmの河川の河口に位置する。この都市の周辺は、高価格で取り引きされる銘柄米を栽培する穀倉地帯で、港町として栄えた時代の米の貯蔵庫は、歴史的な景観として保存されている。”
それでは、さっそく解いていきましょう。
選択肢を順に見ていくと、アは
・梅雨前線の影響を受ける時期の水の流量が最も多い
→梅雨のある地域
・三角州上に築かれた城下町は政令指定都市
→大阪や広島などの大都市
ということが読み取れます。
よって、アはCです。
続いてイを見ていきましょう。
・台風の影響を受ける時期の水の流量が最も多い
→台風の進路になりやすい太平洋側の都市
・漁港として栄え、いわしなどの漁獲量は現在も日本有数
→いわしの漁獲量が第1位なのは茨城県
ということから、イはBです。
ウについては、
・梅雨前線の影響を受ける時期の水の流量が最も多い
→梅雨のある地域
・冬季でも温暖な気候&南国風の花や椰子(やし)などの街路樹
→日本の中でも南のほうの地域
であるので、ウはDとなります。
最後にエを確認しましょう。
・雪解けの時期の水の流量が最も多い
→北の地域や日本海側など雪の多く降る地域
・銘柄米を栽培する穀倉地帯
→米の生産量が多い地域
ということから、エがAに当てはまります。
よって、答えはエです。
三角州の直前対策法!
それでは具体的に、三角州の直前対策としてどのようなことに取り組めば良いのでしょうか?
三角州と扇状地の違いを確認する!
直前期になり知識量が増えてくると、似たような事柄を混同しやすくなってしまいがちです。
そのため、とくに三角州と混同しやすい扇状地との違いをしっかりおさらいしておきましょう。
なぜこのような違いが生まれるのかわからなくなってしまったら、三角州と扇状地の成り立ちを復習してみるのがおすすめです。
また、表にある水田・果樹園・桑畑の地図記号もあらためて確認しておきましょう。
まとめ
三角州について理解できたでしょうか?
わかりにくいと感じる部分があったら、解説を読み返したり地図帳を眺めたりして早めに解消するようにしてくださいね。