中学社会・地理分野で必ずと言っていいほど覚えておきたいのが「生産量」。
どこでどんなものが作られているか知ることは、土地や文化の理解にもつながります。
生産量の表やグラフから、どこの国や都道府県を指しているか考える問題は高校入試でもよく見られますので、きちんと理解して覚えるようにしましょう!
生産量とは
生産量とは、ある産業によって生み出された生産物の量のことです。
産業や作物ごとに生産量が調べられており、日本国内だけでなく世界全体でもデータが集められています。
そのため、生産量を比較することで、どこでどんなものが多く作られているのかがわかります。
生産量上位のランキングは、世界地理では国単位、日本地理では都道府県単位で表記されることがほとんどです。
高校入試はもちろん、定期テストでもよく問われる内容なので、代表的な産業や作物についてはしっかり覚えておきましょう。
入試頻出の日本国内の生産量ランキング
それでは、日本地理で押さえておきたい生産量ランキングを見ていきましょう。
米:雪解け水の豊富な地域が多い
1.新潟
2.北海道
3.秋田
りんご:東北地方や高地など涼しい地域が上位に並ぶ
1.青森
2.長野
みかん:首位は和歌山。2~4位は入れ替わることもあるのでまとめて覚えておこう
1.和歌山
2.静岡
3.愛媛
4.熊本
もも:広大な扇状地がある山梨が首位
1.山梨
2.福島
ぶどう:ももと同様に扇状地の広い山梨が首位で、隣県の長野が続く
1.山梨
2.長野
乳牛:北海道だけで60%を占めている
1.北海道
肉牛:北海道と九州が上位
1.北海道
2.鹿児島
3.宮崎
豚:九州と北海道が上位
1.鹿児島
2.宮崎
3.北海道
鶏(ブロイラー):九州と東北が上位
1.宮崎
2.鹿児島
3.岩手
キャベツ:都市部に近い県が上位(近郊農業)
1.群馬
2.愛知
3.千葉
ピーマン:近郊農業・温暖な地域
1.茨城
2.宮崎
3.高知
ナス:温暖な地域・近郊農業
1.高知
2.熊本
3.群馬
トマト:地域が分散しているのでよく覚えよう
1.熊本
2.北海道
3.愛知
漁獲量:親潮と黒潮がぶつかる太平洋側が多い
1.銚子(ちょうし)港・千葉県
2.焼津(やいづ)港・静岡県
このあたりは確実に覚えておきましょう。
入試頻出の世界全体の生産量ランキング
続いては、世界地理でよく出題される生産量ランキングです。
米:人口が多いアジア圏の国が上位
1.中国
2.インド
3.インドネシア
小麦:人口が多い国・パンが主食の国が上位
1.中国
2.インド
3.ロシア
とうもろこし:アメリカは小麦・大豆・とうもろこしなどの生産量が総じて多い
1.アメリカ
2.中国
3.ブラジル
大豆:とうもろこしとセットで覚えよう
1.アメリカ
2.ブラジル
3.アルゼンチン
オレンジ:スーパーでオレンジの輸入国を見てみよう
1.ブラジル
2.中国
3.インド
原油:日本の輸入相手国はサウジアラビアがトップだが、生産量自体はアメリカのほうが多い
1.アメリカ
2.サウジアラビア
3.ロシア
天然ガス:上位2ヵ国で世界の40%近くを占める
1.アメリカ
2.ロシア
アメリカはシェールガスが有名です。
ロシアは日本に近い国ですがEUへの輸出がメインのため、日本の輸入相手国はオーストラリアが首位です。
石炭:中国だけで世界の約半分を占める
1.中国
ただし、日本の輸入相手国はオーストラリア・インドネシアがほとんどです。
鉄鉱石:日本の輸入相手国も、生産量と同じくオーストラリア・ブラジルが上位
1.オーストラリア
2.ブラジル
これらのランキングのうち、原油・天然ガス・石炭・鉄鉱石といった資源は、輸入相手国もあわせて覚えましょう。
こういった資源は日本国内での生産がほとんどないため、大部分を輸入に頼っています。
輸入先は生産量の多さだけでなく、輸送手段や相手国との関係にも左右されます。
そのため、生産量ランキングと輸入量ランキングが同じになるとは限らないことをおさえておきましょう。
生産量とよく一緒に出てくるキーワード
生産量とよく一緒に出てくるキーワードには、輸出量・輸入量・自給率などがあります。
生産物は、すべてが国内や生産地で消費されるわけではありません。
生産物の一部は、国外などの幅広い地域へと流通していきます。
反対に日本であまり作られないものは、海外からの輸入が行われています。
国内での生産が難しい、つまり自給できないものは輸入に頼るしかありません。
そのため、生産量が少なく輸入量が多いと「自給率」が低いことになります。
たとえば、日本では原油がほとんど産出しないため、日本の原油の自給率は低いです。
逆に、主食である米は日本国内でたくさん作ることができるので、日本の米の自給率は高いです。
このように生産量と輸出量・輸入量・自給率という言葉は深いつながりがあるため、一緒に出題されることがよくあります。
生産量の入試問題を解いてみよう
それでは、実際の入試問題を解いてみましょう。
次の問題は、平成28年度都立高校入試大問2から抜粋したものです。
では、さっそく解いていきましょう。
Ⅰの略地図から、ある農産物の生産量の上位3か国は地中海沿岸の国であることがわかります。
ここで選択肢に目をやると、地中海で生産量が多いウのオリーブかエのぶどうに絞られます。
続いて、ⅡとⅢの資料から、日本ではほぼ香川県のみで生産されている農産物であることが読み取れます。
エのぶどうの生産量が多いのは山梨県や長野県なので、答えはウのオリーブです。
生産量の勉強方法
問題の感覚がつかめたところで、勉強方法をまとめましょう。
まずはおおまかなイメージをとらえよう!
生産量ランキングをまるごと覚えようとする前に、おおまかなイメージをつかんでおくと頭に入りやすくなります。
たとえば、日本であれば次のような地域が総じて生産量の多いエリアにあたるので、ランキング上位にもその地域の都道府県が多くなります。
- 工業:工業地帯・地域
- 水産業:海沿い
- 農業:関東(近郊農業)、九州など
- 果実:冷涼な地域はりんご、温暖な地域はみかんなどかんきつ類
- 畜産:九州、北海道など
- 米:東北や北陸など、雪解け水が豊富な日本海側
地図帳の後ろのほうに載っている資料などで、おおまかなイメージをとらえるようにしてみましょう。
スーパーに行ってみよう!
生産量の多い国や都道府県を覚えるには、スーパーマーケットに行ってみるのがおすすめです。
スーパーに並んでいる野菜や肉、魚などの食材には、産地が書かれています。
たとえばカレーによく使うにんじんや玉ねぎは、北海道産のものが多いです。
米なら新潟や秋田など、東北地方のものがよく並んでいます。
海鮮コーナーでは、タイなどから輸入されたエビが並んでいる様子が見られます。
このように、生産量の多い土地のものは流通している量も多いので、全国各地のスーパーにもよく入荷されるのです。
「でも、うちの近所のスーパーは北海道産じゃなく千葉県産のにんじんだったよ?」という方もいるかもしれませんね。
東京など千葉に近い地域であれば、北海道から運ぶより千葉県から運んだほうが輸送費が安く済むため、生産量は北海道より少ないですが千葉県産のものが入荷されることもあります。
(参考:近郊農業についての記事)
必ずしも生産量1位の産地のものが並ぶわけではありませんが、それでも生産量の多い産地のものがスーパーの店頭に並ぶことが多いです。
どこでどんな作物が作られているのか、大まかなイメージをつかむつもりでスーパーの食品の産地を見てみるのも勉強になりますよ。
資料集などで得た知識と自分の目で見た実感が合わさると記憶に定着しやすいので、試してみてくださいね。
生産量の直前対策法!
それでは具体的に、生産量の直前対策としてどのようなことに取り組めば良いのでしょうか?
イメージと関連付けて覚える!
生産量は、土地の地形や気候、周辺人口などいろんな要素に左右される指標です。
たとえば、魚介類の生産量が多いのは山に囲まれた土地ではなく海沿いの町ですね。
また、果樹栽培に適した土地でも、温暖な地域ならりんごなどはあまり育たないため、かんきつ類の生産が中心になります。
さらに、いろんな作物の生産量で上位にランクインしている北海道は、土地が広いためいろんな作物をたくさん育てられるとイメージしましょう。
このように生産量は、いろんな地理的要因から影響を受けるものなので、丸暗記よりも土地の背景から連想し、関連付けて覚えるのがおすすめです。
自分なりに覚えやすいイメージを工夫して、「忘れにくい」覚え方を見つけるとよいでしょう。
新しいデータを参考にする!
生産量の多い土地のランキングは毎年同じではなく、年によって変動することがあります。
とくに、1位と2位の生産量の差が小さい作物では順位が入れ替わることも多いため、なるべく新しいデータを見るようにしましょう。
また、生産量は天候などに左右されるため、たとえば災害のあった地域ではその年だけ生産量が減ってしまうなんてこともあります。
直前期に調べ直したりする必要はありませんが、どの年のデータなのかは一度確認しておくとよいでしょう。
入試問題は学校で配布された教科書や資料集を元に作成されるため、お下がりや中古の参考書でなければあまり気にしなくても大丈夫です。
兄弟にもらった資料集などを使っている方は、授業で習った知識を優先して覚えるようにしましょう。
まとめ
生産量について理解が進んだでしょうか?
丸暗記しようと思うと大変ですが、覚えやすくするための方法はあります。
自分なりに工夫して生産量のランキングを覚え、得点につなげていきましょう!