都立高校入試の国語では、漢字の読み書きから読解問題、作文などで実際に文章を書くことなどあらゆる問題に対応できる力が必要になります。
さらに、都立高校入試の国語の文章量は非常に多く、制限時間内に問題文を理解しつつ正解を導き出す必要があるため、都立高校の国語の傾向に合わせて勉強しなければなりません。
都立高校によっては独自の学力テストを課すところもありますが、この記事ではそれ以外の都立高校共通の学力テストの傾向と対策について紹介します。
都立高校入試(国語)の傾向分析
都立高校入試の国語はどのような傾向で出題されるのでしょうか。
下記にて、問題の構成と出題傾向、難易度などを傾向分析してまとめました。
都立高校入試(国語)の大問構成と出題範囲
都立高校入試の国語の大門構成は以下のようになっています。
大問1:漢字の読み(全10点)
大問2:漢字の書き(全10点)
大問3:小説文の読解(全25点)
大問4:論説文の読解(全30点)
大問5:古典と現代文の融合問題(全25点)
この構成は15年以上変わっていないため、今後も大幅に出題傾向が変わることはないと思われます。
ここからは各大問別の詳しい内容について紹介します。
大問1:漢字の読み(全10点)
漢字の読み問題は全5問で、ほとんど漢検5~3級レベルの問題が出題されます。
漢字の読み書き問題の共通点ですが、大問3・4の物語文と論説文のような読解問題でよく見る漢字は問題として出題されないことが多いです。
読み問題では、普段あまり使わないような難しい漢字が出題される傾向があります。あくまでも日常的に使わないだけなので、教科書の範囲内で出題されます。
また、普段音読みで読み慣れている漢字の訓読みが出題されることもあるので、しっかりと対策しましょう。
大問2:漢字の書き(全10点)
漢字の書き問題は全5問です。
読みの問題と比べると多少難しいですが、読み書き問題ともに平均正答率は80~90%以上のため、志望校合格のためには大問1・2で満点を取れるようにしましょう。
漢検5級以下の小学生で習う範囲の問題がほとんどのため、読み問題と比べると解きやすいです。
大問3:小説文の読解(全25点)
大問3は小説などの物語調の文章の読解問題が出題されます。
登場人物の性格や心情などを読み取る必要があります。読書が趣味で小説を読み慣れている人なら解きやすいですが、慣れていないと登場人物の気持ちが理解できずになかなか問題が解けない人もいます。
ただ、心情そのものを読み取るのではなく、「情景描写や人間関係、表情などから心情を読み取る」事が大事です。なので、普段から小説を読まない人は読解問題で慣れる必要があります。
出題の傾向としては、登場人物の気持ちや考えていることを問われることが多いです。
4択で出題されますが、それぞれの選択肢のポイントを捉えられれば選択肢を絞ることができたり、より早く答えにたどり着いたりできます。
大問4:論説文の読解(全30点)
第4問の論説文は他の大問と比べると配点が最も大きい大問です。最も解くのに時間がかかるため、スピードを意識して問題に取り組みましょう。
大問3と比べると説明書のような固い文章のため、慣れていないと読みづらく感じると思います。
難しい文を読むためには、先に問題文から見ておくとそこを意識しながら文章を読むことができます。
文章のどの部分を見ればいいのか要点を把握することで効率良く問題を解けるので、先に問題文を見る癖をつけましょう。
このときに注意すべきなのが、選択肢問題は文章を読む前に選択肢は見ないようにする、ということです。なぜなら、選択肢が4つあれば「3つは間違いの選択肢」であり、惑わされてしまうからです。
また、選択肢問題の中には「適切でないものを選びなさい」の問題がたまにあるので、これも見間違えないように注意してください。
さらに、第4問では論説文の最後に特定のテーマについて200字の作文を書く必要があります。
例えば、「『◯◯◯』というテーマで自分の意見を発表することになった。このときにあなたが話す言葉を具体的な体験や見聞も含めて二百文字以内で書け。」という内容で出題されることが多いです。
作文の対策は自分だけではなく、先生など周りに見てもらうことによって自分では気付けなかった課題が見つかります。塾に通っていない人は学校の先生に添削してもらってください。
ここで書く作文は感想文ではありません。各テーマに合わせて自分の考えや体験談を論理的にまとめる練習をしましょう。
大問5:古典と現代文の融合問題(全25点)
文章構成など古文に慣れておく必要はありますが、マークシート式で出題されるためにそこまで難易度は高くありません。
出題される古典は和歌など物語調かつ現代文もついているため、古文文法や単語などをある程度勉強すれば問題なく解けるでしょう。
都立高校入試(国語)の難易度
都立高校入試の国語の平均点ですが、平成28年からはマークシートが導入された影響もあり、平成28年以前と比べると若干上がっております。
令和2年度時点ではマークシート式から変更がなかったため、年度によって多少難易度は変わりますが、他の科目と比べるとそれほど難しくはありません。
都立高校入試(国語)解答の際の時間配分
都立高校入試の国語の制限時間は50分です。解答の際の時間配分ですが、以下の配分と順番で解くことをオススメします。
大問1:漢字の読み & 大問2:漢字の書き(5分)
大問3:小説文の読解(15分)
大問5:古典と現代文の融合問題(10分)
大問4:論説文の読解(15分 作文5分)
漢字の読み書き問題に時間をかける必要はありません。分からない問題は悩みすぎずにとりあえず答えを書くか、余った最後の時間に考えましょう。
また、大問3・4読解問題ですが物語調で比較的に読みやすい大問3から取り組みましょう。
大問3を終えたら大問5を解き始めましょう。大問5は古文に慣れていないと辛いですが、難易度自体はそれほど高くないため、古文の対策をしていれば問題なく解けます。
大問4の論説文は難しく読むのも時間がかかるために最後にじっくりと解きましょう。
大問3~4の読解問題に時間をかけすぎてしまうとあっという間に制限時間が迫ってしまうので、時間配分は意識して解きましょう。
都立高校入試(国語)の対策と勉強法
都立高校入試の国語は一朝一夕では身につかないため、ある程度時間をかけて勉強する必要があります。
そのためなるべく早いうちから対策する必要がありますが、具体的にどの時期にどのような対策をすればいいのでしょうか。
ここからは国語の時期別の対策と勉強法について解説します。
中1・中2のうちにやっておきたい対策
定期的に漢字の読み書き問題の対策に取り組みましょう。
漢字の読み書きはやればやるほど得点に繋がります。逆に、試験直前に覚えようとしても出題範囲が広いため、なかなか得点には繋がりません。
なので漢字の読み書きは前もって対策する必要があります。
ただし、そこまで時間をかけて勉強する必要はないため、通学時などの隙間時間で漢字の読み書き問題を定期的に対策しましょう。
易しい難易度の参考書から取り組むのはもちろんですが、定期テスト対策や授業の復習を行うことで高校受験に必要な知識の土台が築かれます。
特に、読解問題は勉強量がすぐに成績に反映されないので、なるべく早めに対策しましょう。
中3の夏前までにやるべき対策
中3の夏休み前までには、中学で習う国語の全範囲を復習しましょう。
この期間では参考書や教科書などで漢字や文法、古文の読み方の基礎知識を身につけます。
いきなり問題集ばかりに取り組むと、内容が理解できずに全然成績が上がらない可能性があるため、夏前までに基礎を身につけてください。
中3の夏休みにやるべき対策
中学3年生で一番長い長期休暇は夏休みです。この期間を逃せば一日中勉強に費やせる時間が少なくなるため、夏休みでどこまで勉強できるかが重要です。
夏前には参考書や教科書などの基礎知識は身につけられたと思うので、夏休みは問題演習を中心に取り組みましょう。
また、塾に通っていない人でも夏期講習に通う手もあります。
塾の先生に教えて欲しい人や、家では集中できないから自習室を利用したい人にはオススメです。
中3の秋に取り組むべき対策
夏休み明けからは問題演習だけでなく、過去問に取り組みましょう。
夏休みまでに中学で習う国語の全範囲の復習や問題演習に慣れたら、今後は都立高校で出題される共通の学力テストの傾向に合わせて対策する必要があります。このあたりから作文の添削もしてもらえるといいでしょう。
中3冬・受験直前期に取り組むべき対策
受験直前期も過去問を中心に取り組みましょう。新しい問題集や参考書には手を出さず、これまで習ってきた内容を総復習してください。
一度解答して解説を見ただけでは覚えられません。何度も復習することでより知識は定着します。
取り組んできた問題集の中で間違えた問題を中心に復習しましょう。
また、冬になると急激な気温の変化で体調を崩す受験生が多いので、体調管理に気をつけて無理なく勉強しましょう。
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まとめ
都立高校入試の国語は、正確に文章を読んだ上で理解する力が必要になります。
国語は他の科目と比べて文章量が多いため、制限時間内にスピーディに解答する力が求められるのです。
国語はすぐに結果につながりにくい科目なので、成績を上げるためには問題演習を繰り返すしかありません。参考書や問題集を理解できるまで何度も繰り返してください。
また、作文などで自分の考えを論理的にまとめる力なので、先生に添削してもらいながら対策しましょう。