都立戸山高校入試では、進学指導重点校として独自問題が出題されます。
独自問題の国語では、「高難度の漢字の読み・書き取り問題」「選択肢1つ1つの文章が長く紛らわしい問題」などが出題されるため、早いうちから独自の対策が必要になります。
今回は、その都立戸山高校国語独自問題の傾向と対策について紹介します。
※こちらは、都立戸山高校向けの記事になります。共通問題である都立高校入試に対応した内容ではありませんのでお気を付けください。
都立戸山高校入試国語の傾向分析
大問は5つ構成で、順に「漢字の読み→漢字の書き取り→小説→論説文→融合文」が出題されるのが例年の傾向です。
配点は漢字が1問2点、その他が4点となっていますが、作文のみ12点と配点が高くなっています。
試験時間は50分です。200字以内の作文を書くことを踏まえると、時間配分はとても大切になります。
都立戸山高校入試国語の大問構成と出題範囲
大問構成は以下のようになっています。
- 大問1:漢字の読み
- 大問2:漢字の書きとり
- 大問3:小説
- 大問4:論説文
- 大問5:融合文
では、ここから各大問ごとに詳しくみていきます。
大問1 漢字の読み(全10点)
漢字の読み問題は全5問で、「漢検3〜2級」の問題が出題されます。漢検2級は高校卒業程度のレベルなので、中学3年生にとっては高難度のものになります。
しかし過去に出題された問題には、漢検2級の問題も多く見受けられます。そのため漢字については早いうちからの対策が必須です。
例えば過去にはこんな問題が出題されています。
(読み)
- 自縄自縛(じじょうじばく)・・・漢検2級
- 陶冶(とうや) ・・・漢検2級
(書き)
- 二つの国はイチイタイスイの間柄にある(一衣帯水)
- ディベートでゼッセンを繰り広げる(舌戦)
また、近年の傾向だと漢字の読み・書きどちらかに四字熟語が出題されることが多いです。四字熟語まで網羅出来ているかどうかによって点差が生まれることになるでしょう。
大問2 漢字の書き取り(全10点)
漢字の書き取り問題も全5問で、読み問題同様「漢検3〜2級」の問題が出題されます。
都立高校入試の共通テストでは出題されないような高難度の問題が多いので、独自の対策が必要になります。
大問3 小説(全24点)
小説は比較的読みやすい文章が出題されます。心情や心情の理由、様子を問う問題が多く出題されます。
また、文章の表現や構成に関して問う問題も出題されるため、全体を通した文章理解が必要です。
大問4 論説文(全36点)
論説文は、抽象度が高い内容の問題が出題されるため高難度です。傍線部の説明や理由を問う問題が多く出題されます。
また、文章の構成がどのようになっているかも問われます。段落のまとまりを考えて読むようにしましょう。
さらに例年大問4の最後の問いは、200字以内で答える作文が出題されます。配点は12点と大きいです。
問題は「筆者の考えに対して自身はどう考えるか」と問われることが多いです。そのため日頃から考えを論理的に述べるトレーニングをしておきましょう。
大問5 融合文(全20点)
融合文は現代文の中に古文が引用されています。原文が引用されていますが現代語訳もついているので、理解はしやすいです。
問題では古典の知識が問われることがあるので、『国語便覧』などを用いて学習しましょう。
都立戸山高校入試国語の難易度
都立戸山高校入試国語の過去の平均点をみていきます。
- 平成31年度 64.9点
- 平成30年度 47.6点
- 平成29年度 62.4点
- 平成28年度 81.1点
- 平成27年度 53.0点
他の教科と比べ、年によりバラつきが大きいのが特徴です。国語は安定して高得点を取ることが難しい科目ではありますが、応用問題集や過去問で多くの文章に触れるようにしましょう。
都立戸山高校入試国語解答の際の時間配分
- 大問1:漢字の読み(3分)
- 大問2:漢字の書きとり(3分)
- 大問3:小説(12分)
- 大問4:論説文(20分)
- 大問5:融合文(12分)
国語の試験時間は50分間になります。文章題が3題あるので、大問1・2の漢字問題はぱっと解いてしまいたいです。
残りの時間は、作文を含む大問4により多くの時間をかけられるように配分しました。
しかしあくまでこれは目安なので、自分に合う時間配分や解く順番を見つけてください。例えば、「作文が苦手」という人は大問4を最後に解くのも1つの手ですね。
都立戸山高校入試国語の対策と勉強法
国語は短期間で成績が上がる教科ではないため、なるべく早いうちから対策する必要があります。
では、具体的にどの時期にどのような対策をすればいいのでしょうか。ここからは国語の時期別の対策と勉強法について解説します。
中1・中2のうちにやっておきたい対策
中1・中2のうちに「漢字対策」を始めましょう。漢字はいつからでも勉強が始められます。点数が安定しづらい国語において、漢字の点数は確実に取りたいところです。
また先述した通り、都立戸山高校の漢字問題は高難度のものが出題されます。そのため、中学1年生のころから着実に漢字を学習していき、高難度の漢字のみを対策できるような参考書などにも取り組みましょう。
また漢字を覚える際には、一つずつ覚えていくのではなく、部首ごとといったグループ分けをして覚えていくのが最適です。
さらに、漢字は90%を形成文字が占めます。「形成文字」とは、意味を表す文字と音を表す文字の組み合わせのこと。
例えば「江」「河」はいずれも右側が音を表していて、音読みは全て「コウ」となります。このように自分に合った効率がいい漢字の覚え方を探してみるのも勉強の1つですね。
中3の夏前までにやるべき対策
中3の夏前までには漢字対策を終わらせるようにしましょう。漢字は入試の中では基礎事項となります。
そのため多くの勉強時間が確保できる夏休みに漢字を勉強するのは少しもったいないです。中1から始めた漢字対策は、夏前までに完璧にしておきたいですね。
また古典の基本知識なども夏前までに便覧などを活用して覚えておくと、夏休みにスムーズに問題演習に取り掛かることが出来ます。
中3の夏休みにやるべき対策
夏休みは多くの勉強時間を確保できる時期です。この時期にどれだけ勉強したかによって合否が決まるといっても過言ではありません。そのため、夏休みには多くの演習問題をしましょう。
また都立戸山高校の国語の問題構成は、都立高校入試の共通問題と似ています。融合文などの対策は参考書なども限られていますので、共通問題の過去問なども解いてみてください。
しかし先述した通り、国語は時間をかければかけるほど点数が取れるとは限りません。だからもし英語や数学の方が苦手という人は、その2教科をより重点的に勉強するようにしてください。
中3の秋に取り組むべき対策
都立戸山高校独自問題の過去問を始めましょう。
直近数年の過去問が掲載された参考書なども発売されているので、本屋に立ち寄って見てください。また、インターネットでも過去3年分は閲覧可能です。
しかし、本の方が解説が付いているため、自分で勉強をするのなら理解しやすいのでおすすめです。
過去問を解く際には、時間を測って解くようにしましょう。「どのくらいの時間配分で問題を解かなくてはならないのか」ということを体感し、自分に合った時間配分を見つけることが大切です。
さらに作文の対策も始めてください。作文は自分だけでは客観的な採点が出来ないので、学校の先生や塾の先生などに添削をお願いするようにしましょう。
中3冬・受験直前期に取り組むべき対策
冬も引き続き過去問演習をしてください。
受験直前期には、焦っていろいろなことに手を出すのではなく、今までと同じことを繰り返しやることをおすすめします。何回も繰り返すことによって知識は定着します。
また冬は、「急激な気温の低下」「入試が近づく精神的な不安」など様々な要因が重なり体調を崩しやすい時期です。
いつも以上に体調管理には気を遣うとともに、思い悩みすぎずにリフレッシュする時間も大切にしてください。
入試に臨む上での注意点
先述した通り、国語は年により易化する年、難化する年などさまざまあります。
そのため入試本番にどのような内容が出たとしても、焦らず今まで通り解く必要があります。難しいと思っても、読むのを諦めず一つ一つ丁寧に取り組みましょう。
どんな問題でも、解答のヒントは必ず文章中にあります。自分に自信をもって、落ち着いた心で臨みましょう。
まとめ
都立戸山高校入試国語独自問題の傾向と対策について説明してきました。都立戸山高校入試国語の独自問題は高難度なものが多く、安定した成績を取るのが難しいです。
しかし、「応用演習」「過去問」などを通して抽象度の高い問題に慣れることは可能です。
また漢字などは中学1年生から対策を始めることが出来るとともに、早いうちからの勉強がのちのち役に立ちます。傾向を理解して、早めに勉強を始めましょう。