都立新宿高校は「進学重視単位制高校」に指定されており、入試で独自問題が出題されています。
国語の独自問題では、抽象的で難解な論説文や作文が課されます。そのため、速読力や文章理解力、そして作文力といった幅広い能力が求められます。
今回はそんな都立新宿高校の国語独自問題の解説をしていきます。
都立新宿高校入試国語の傾向分析
都立新宿高校の国語独自問題について、問題の構成と出題傾向、難易度をまとめました。
都立新宿高校入試国語の大問構成と出題範囲
都立新宿高校の国語独自問題の大問構成は以下の通りです。
- 知識問題(全12点)
- 小説(全29点)
- 論説文(全34点)
- 融合文(現代文+古文)(全25点)
例年、論説文で配点10点分の作文問題が出題されます。また、細かい配点に関しては変更になる可能性があります。
ここからは各大問の詳細を見ていきます。
大問1 知識問題(全12点)
大問1の知識問題では漢字の読みと書き取りが出題されます。
書き取り問題に関しては特段難しい問題は出題されません。
注意すべきは読み問題の方で、2020年度は「彫金」「一幅」といった中学生にはあまりなじみのない読みや、「朝三暮四」といった四字熟語の読みも出題されています。
普段から漢字ドリルをコツコツ進めたり、漢字検定に挑戦してみたりするのも高得点を目指すのに有効です。
大問2 小説(全29点)
大問2では小説、もしくは随筆が出題されます。大問2に関しては基本的に「記号選択問題」で構成されており、2020年度は全問題が記号選択式でした。
「記号選択問題」のみではありますが、配点は30点近くあるので大問2でしっかりと得点をすることが合格の近道となります。
小説・随筆の「記号選択問題」では基本的に
- 登場人物の行動・発言の理由
- 登場人物の心情
- 本文の表現や構成
について問われることがほとんどです。この中で一番注意すべき問題は「登場人物の心情」に関する問題です。
小説・随筆内では文章を通して登場人物の心情が変化しています。
問題として問われるのは一部ですが、文章全体での登場人物の心情の変化に着目しておくことで、問われた問題に適切に答えることができるようになります。
登場人物の心情や心情に関わる行動を示す一文は、文章内で出てくるたびにマークを付けておくのも一つの手です。
大問3 論説文(全34点)
大問3では「論説文」が出題されます。「論説文」とは「ある事柄を筆者が独自の解釈で論理的に説明した文章」のことです。なので「論説文」の読解で重要になるのは、
- 筆者がどんな事柄をテーマにしているのか
- 筆者の独自の解釈・主張とはどんなものか
の2点を見極めることです。もちろん文章全体が筆者の独自の主張ではありませんが、キーとなるポイントには筆者の独自の主張が行われます。
基本的に問題は筆者の独自の主張の部分に集中しており、その他の一般論や具体例といった部分は問題に関らないことが多いです。
つまり、文章のテーマと、それに関する筆者の主張を正確に見極めることができれば、問題に素早く正確に答えていくことが可能になります。
筆者の主張は「つまり」「要するに」といったまとめの表現の後に頻繁におかれます。
また、「しかし」といった逆説の表現の後に、一般論に反対する形で置かれることもあります。これらの表現に注意しながら文章を読み進めていきましょう。
また、大問3では作文も出題されます。文字数は200字以内で「論説文」のキーワードに関する自分の意見を問われるという形式です。
作文に関しては大問の最後に置かれますが、先に問題文だけ確認しておき、「問題を解きながら作文についても頭の片隅で考える」ことで時間のロスを減らせます。
大問4 融合文(現代文+古文)(全25点)
大問4は融合文(現代文+古文)です。基本的にはある古典的な文章に関しての説明文であり、その途中で原典の古典の文章が引用される、といった形式です。
2020年度は『枕草子』に関する説明文でした。古文の内容も含まれますが、専門的な知識が必要になる問題は少なく、文章の展開や注釈に注目していけば解ける「記号選択問題」がほとんどです。ぜひ高得点を狙いましょう。
都立新宿高校入試国語の難易度
難易度に関しては、全体を通して標準レベル以上で、確かな国語力が要求されます。
特に論説文に関しては、中学生にあまりなじみのない本格的な論説文が出題されるため、難易度が高く対策は必須です。
都立新宿高校入試国語解答の際の時間配分
都立新宿高校の国語の制限時間は50分です。
長文が3つ、更に作文もある中で制限時間50分というのは中々厳しい設定なので、しっかりと時間配分を行っていく必要があります。以下の時間配分をサンプルとしてください。
- 大問1 知識問題 3分
- 大問2 小説 10分
- 大問3 論説文 25分(うち作文8分程度)
- 大問4 融合文 12分
長文に関しては年ごとに問題の難易度にばらつきもあるため柔軟に時間配分を変更してください。
時間配分が重要な一番の理由は「一つの大問に時間をかけすぎて最後まで解答できない」ことを防ぐためです。
各大問ごとに「何分過ぎたら途中でも解答を止めて次に行く」というルールを作り、そこから逆算して各小問に何分かけてもよいかを大体でいいので掴んでおきましょう。
都立新宿高校入試国語の対策と勉強法
ここでは、都立新宿高校の国語の対策と勉強法についてご紹介します。
時期別にまとめていますので、受験学年以外の人も参考にしてください。
中1・中2のうちにやっておきたい対策
この時期は受験を意識する必要はまだありません。重要なのは文章に慣れておくこと、そして文章を読むことを好きになることです。
教科書で自分の気に入った作者を見つけ、図書館でその人が書いた本を読んでみたりするのもおススメです。たくさんの本を読むことで速読力が上がり、いざ受験となった時に大いに助けになります。
中3の夏休みにやるべき対策
国語に関しては、他の教科と違って夏休みにできる特別な対策といったものはありません。むしろ、英語や国語といった他教科の基礎の徹底に時間をさくべきです。
ただ、だからといって国語は何もやらなくてもいいというわけではありません。毎日漢字ドリルや長文読解などを少しずつでもいいので、進めていきましょう。
中3冬・受験直前期に取り組むべき対策
国語の直前期の学習はとにかく過去問を解くことです。
特に長文は慣れないうちは時間が足りず嫌になってしまうかもしれませんが、何回も解いていくうちに必ず時間内に解けるようになります。
過去問を解く際に重要なのは、解きっぱなしにしないこと。いくら焦っているからといって答え合わせだけチャチャっとして次の問題!という状態では国語力は身につきません。
解答解説を読んで、「なぜ間違えたのか」「どういう思考プロセスをたどれば答えにたどり着けるのか」といったことを理解してから次に進みましょう。
作文に関してはめんどくさがらずに必ず解いて、学校や塾の先生に採点してもらうのが良いでしょう。
まとめ
今回は都立新宿高校の国語入試について解説しました。
都立新宿高校の国語の問題は、時間制限が厳しく、特に論説文と作文が慣れないうちは難しいはずです。しっかりと過去問で対策を行いましょう。
国語は伸びが遅く、しかも見えづらい教科ですが、コツコツ取り組めば必ず伸びていきます。
「国語は才能」「国語は運ゲー」などと言い訳せずに、しっかりと自分の解答と問題解説に向き合って粘り強く勉強していってください。