中学英語の「受け身」は、並び替え問題等によく出てくる必須表現です。
誰が主語なのか一見わかりにくい文章構造ですが、きちんとポイントを押さえていけば難しいものではありません。
この記事で理解のあいまいな部分をなくしていきましょう。
受け身(受動態)とは
受け身とは、動作の受け手が主語になる表現の事です。
主語が能動的に動作をしないので「受け身」と呼ばれます。
受け身は「受動態」とも呼ばれます。
主語が能動的に動作を「する」のではなく「される」側になるのが特徴です。
受け身は「be動詞+過去分詞」の形で表され、「~~される」と訳します。
例として、次の文章を見てみましょう。
この文章における動作の受け手を主語にして文章を組み立て直すと、次のようになります。
このように、主語が動作を「される側」になっているのが受け身という表現です。
受け身(受動態)を使いこなすためのポイント!
それでは、受け身の作り方と理解を深めるポイントについて詳しく説明していきます。
肯定文
受け身の肯定文は「be動詞+過去分詞」の形で作ることができ、これで「~~される/~~されている」という意味になります。
例文を見てみましょう。
English is spoken.
ここで主語のEnglishは「英語」なので、なにかの動作を能動的に行うことはありませんね。
このように受け身を使うと、動作の受け手を主語に置いた文を作ることができます。
否定文
受け身の否定文は「be動詞+not+過去分詞」の形で作ることができます。
先ほどの肯定文を否定文に変えると次のようになります。
English is not spoken.
このように、受け身の否定文では「not」がbe動詞のあとに置かれることを押さえておきましょう。
疑問文
受け身の疑問文は「be動詞が主語の前に出る」と覚えておきましょう。
先ほどの例文を疑問文にすると次のようになります。
Is English spoken?
この疑問文に対しては、主語の前に置いたbe動詞を使って応答します。
上の疑問文の場合、内容に応じて次のように答えます。
Yes, it is. / No, it isn’t.
疑問文ではbe動詞の位置に注意しましょう。
助動詞が付く場合
受け身の肯定文は「be動詞+過去分詞」の形をとることを学びましたが、ここに助動詞が付く場合、助動詞はどこに置かれるでしょうか?
答えは「be動詞の前」です。
助動詞が付く場合の受け身は「助動詞+be動詞+過去分詞」という形になります。
ここで悩んでしまった方は、助動詞の使い方を確認しておきましょう。
- 助動詞は動詞の前に置く
- 助動詞のあとの動詞は原形である
さて、このルールを見てお気づきの方がいるかもしれませんが、助動詞のあとの動詞は必ず「原形」を使います。
つまり、助動詞が付く場合の受け身では、be動詞は「be」を使うということです。
ひとつ例文を見てみましょう。
Your idea will be selected.
あなたのアイデアが選ばれるでしょう。
このように、主語がなんであれ、助動詞が付く場合の受け身は「助動詞+be+過去分詞」で作ることを押さえておきましょう。
主語と修飾語の関係
これまで基本的な受け身の作り方を見てきましたが、ここからが受け身を理解するための最大のポイントになります。
受け身を理解するためには、動作を行う側と受ける側、2つの関係を理解するのがポイントです。
それでは、例文を交えながら解説していきます。
主語と修飾語の入れ替え
受け身では動作をされる側が主語に置かれ、動作をする側は修飾語になります。
つまり、「動作をする」ことを考えると、修飾語と主語の位置を入れ替えた文章に書き換えられるのです。
最初に挙げた例文を使って考えてみましょう。
このように主語と修飾語を入れ替えても、「ケンがこのペンを使っている」ということに変わりはなく、行われた動作自体は変わりません。
こうした入れ替えや並び替えの問題はよく出題されますので、主語と修飾語の入れ替えはしっかりできるようにしておきましょう。
ここで「文章の前後を入れ替えても意味が変わらないなら、受け身を使わずに書けばいいんじゃないの……?」という疑問が浮かぶかもしれませんね。
しかし、受け身を使うことには理由があります。
続いては、その受け身を使う理由について見ていきましょう。
受け身を使う理由
受け身を使う理由は、次の2つが挙げられます。
- 動作を受ける側を話題の中心にしたい場合
- 動作をしたのが誰かはっきりしない場合
それぞれについて例文で見てみましょう。
(1)動作を受ける側を話題の中心にしたい場合
「ユキが撮った写真」が手元にある状況を思い浮かべてみましょう。
写真を撮ったユキを話題にしたい場合は、次のように表現できます。
Yuki took this picture.
この文で話題の中心になっているのは動作を行った「ユキ」です。
これを受け身の文章にすると、主語になるのは「写真」ですね。
This picture was taken by Yuki.
このように、受け身を使うと話題の中心は動作の受け手である「写真」になります。
(2)動作をしたのが誰かはっきりしない場合
Mt. Fuji can be seen from here.
「ここから富士山が見えます」と言いたいとき、富士山を見る人が誰であるかははっきり定まっていませんよね。
このように、動作の主体が誰なのかはっきりしないときにも受け身を使えば表現できます。
受け身によく使われる前置詞
さて、ここでは受け身表現でよく使われる前置詞を見ていきましょう。
受け身では動作を行った側などを修飾語によって表現するので、文章の内容に応じてさまざまな前置詞が使われます。
受け身の修飾語によく使われる前置詞には、次のようなものが挙げられます。
- by+人 ~~によって
- in+場所や時間 ~~に/~~で
- of [from]+材料[原料] ~~でできている/~~からできている
ofとfromの使い分けは明確に定まってはいませんが、パッと見て材料がわかる場合はof、原料が一見わからない場合はfromを使うことが多いようです。
This table is made of wood.
(テーブルの材質は目で見てわかる)
Wine is made from grapes.
(ワインの材料は見ただけではわからない)
受け身(受動態)の問題を解いてみよう
それでは練習として、例題を解いてみましょう。
“日本語の意味になるように英語を並び替え、受け身の文章を作りなさい。
ただし使わない語が1語含まれている。
また文頭に来る語も小文字で示してある。
これらの本はこの図書館で借りられますか?
library / this / these / in / can / are / borrowed / be / books / ?”
では、早速解いていきましょう。
まず主語は借りる対象である「これらの本」なので「these books」ですね。
主語が複数なのでbe動詞は「are」だと考えがちですが、動詞にくるのは「借りられますか?」なので助動詞の「can」が必要です。
助動詞が付く場合、使うbe動詞は原形の「be」なので、動詞は「can be borrowed」を使います。
そしてこの文章は疑問文なので「助動詞とbe動詞のセット」を主語の前に置き、文末には「?」を付けます。
Can these books be borrowed ?
ここまで組み立てたら、あとは修飾語です。
修飾語には「この図書館で」という意味の語が置かれるので、使う語は「in this library」ですね。
先ほどの文と組み合わせて、正解の文章は次のようになります。
Can these books be borrowed in this library?
そして使わない語はareです。
受け身(受動態)の勉強方法
問題の感覚がつかめたところで、勉強方法をまとめましょう。
主語と修飾語を入れ替える練習をしよう
英文を作るにしろ語句の並び替えをするにしろ、主語に何を置いて何が修飾語になるかを判断する必要があります。
先ほどの例題では「受け身の文章を作れ」と書かれていましたが、「英文を作れ」とだけ書かれている場合は能動態と受け身(受動態)のどちらの文を作るべきかも自分で考えなければなりません。
そのような場合に、主語と修飾語の入れ替えに慣れておくと心強いです。
受け身にできそうな文章を見かけたら、主語と修飾語を入れ替える練習をしておきましょう。
受け身(受動態)の直前対策法!
それでは具体的に、受け身の直前対策としてどのようなことに取り組めば良いのでしょうか?
変化の不規則な過去分詞を覚えよう!
受け身の表現に欠かせないのが動詞の過去分詞形です。
入試本番に備えて、より実践的に動詞の過去分詞形のおさらいをしておきましょう。
中でも、不規則な形のものはひっかけ問題に使われることもあります。
不規則動詞の勉強法をまとめた記事がありますので、そちらも活用して入念に準備を進めてください。
まとめ
受け身について、バッチリ理解できたでしょうか?
動作の主体が誰なのかを考えるのが受け身を理解するコツです。
演習を重ねて、受け身を得点源にしていきましょう!