「食塩水の問題」といっても様々な種類の問題があります。
何を聞かれているのか、問題のシチュエーションはどうかなど多々ありますが、今回はどんな食塩水の問題でも対応できる方法をお伝えします。
食塩水の問題で満点を取る事ができない高校受験生必見です!
食塩水がなぜ苦手なのか
「食塩水の問題が苦手…」という中学生の声をよく耳にします。これは、頭の中が整理できていないからです。
では、なぜ頭の中が整理できないのでしょうか?
理由は「濃度の足し算引き算はできないから」です。
食塩水の頻出問題に「食塩水の混ぜ合わせ問題」があります。多くの受験生がここで苦労しています。「ついつい濃度を足し引きしたくなるが、それはできない…どうしよう…」となるわけです。
では、どのようにすれば頭の中をきちんと整理して解くことができるのでしょうか?
大切なのは「公式を先に書いてから問題を解く事」です。そのためには「図で書き出す」という事が必要になります。
これで大丈夫!食塩水の解法
先ほど食塩水の問題を解くポイントは「公式を図で先に書いてから問題を解く事」とお伝えしました。
これから例題を通じて、皆さんにお伝えしていきます。
「濃度4%の食塩水Aと濃度12%の食塩水Bを混ぜて濃度10%の食塩水Cを800gつくりたい。 それぞれ何gずつ混ぜればよいか。」(改・都立国立高校)
今から一緒にこの問題を解いていきましょう。ステップは以下の3つです。
- 公式を図で書く
- 求めたいものをXと置く
- 数値を図にあてはめて計算する
とても簡単ですね。やってみましょう!
ステップ1:公式を図で書く
食塩水の公式はこちらになります。皆さんは、速さの公式の「み・は・じ」の公式を覚えていますか?
食塩水の公式でも全く同じ形が成り立ちます。「塩・の・水」と覚えましょう。
- 塩「食塩水の量」
- の「食塩水の濃度」
- 水「食塩水全体の量(食塩+水)」
ここで注意点があります。「水」という記号を見て「水だけ」と勘違いしてしまう方がいるかもしれません。しかしここでは「水」は「食塩水全体の量(食塩+水)」なので要注意です。
念のため公式を確認しましょう。
このように文字でズラズラ書くよりも、上記のように図で書いた方が時間も短縮できますし、見やすいです。この図を書けば、どんなに複雑な問題でもきちんと解くことができます。
ステップ2:求めたいものをXと置く
では、求めたいものをXで置く前に数値が与えられていて求められるものを先に求めましょう。
問題は「濃度4%の食塩水Aと濃度12%の食塩水Bを混ぜて濃度10%の食塩水Cを800gつくりたい。 それぞれ何gずつ混ぜればよいか。」でしたね。
食塩水Cは、
水「食塩水全体の量(食塩+水)」が800gの「食塩水の濃度」が10%
の2つの数値がわかっています。
Cの食塩(g)=800g×0.1(10%)となります。
つまり食塩水Aと食塩水Bを混ぜた食塩水Cの食塩の量(食塩A+食塩B)は80g(800g×0.1)です。
このことを踏まえて、聞かれている食塩水AとBを何gずつ混ぜたかを考えます。
食塩水Aの量をX(g)と置きます。食塩水AとBを混ぜ終わった食塩水Cの全体の量は800gである。そうすると食塩水Bの量は800‐X(g)となる。”
ここのステップは、これでOKです!
ステップ3:数値を図にあてはめて計算する
まずは食塩水Aから当てはめていきましょう。
問題文に書いてある数字を図に書き出すとこのようになります。
Aの食塩(g)=X(g)×0.04(濃度)です。
続いて食塩水Bです。
問題文に書いてある数字を図に書き出すとこのようになります。
Bの食塩(g)=(800‐X)(g)×0.12(濃度)です。
最後は、あてはめた食塩水AとBを踏まえて食塩水Cについて考えましょう。
冒頭に食塩水Cの食塩の量(食塩A+食塩B)は80g(800g×0.1)と求めました。この事を踏まえると下記のような式が成り立ちます。
となります。これを解くとX=200(g)になります。このことにより、食塩水Aの食塩の量は200g、食塩水Bは800‐200=600gと答えがでます。
答えは、
・食塩水A 200g
・食塩水B 600g
です。
このようにどんな問題でも「塩・の・水」の図に当てはめるだけで簡単にできます!
解けるようになるためにやるべきこと
ここまで食塩水の実際の解き方を見てきましたが、正しく解けるようになるためには何をすべきなのでしょうか?
答えはひとつしかありません。「徹底的に演習を積む」事です。
食塩水の問題には様々な種類があります。例えば、1種類の食塩水で考える問題や2~3種類の食塩水で考える問題。さらに加熱して蒸発させる問題などもあります。
どんな問題にも対応できるように、今のうちから様々な種類の問題に出会いましょう。その積み重ねが入試本番の得点を大きく左右します。
食塩水は小学校から勉強している単元なので、正答率の目安は「9割から10割」です。どんなレベルの問題でもここまで正答率を高められるまで演習を積みましょう。
「徹底的に演習を積む」ために、おすすめの参考書があるのでご紹介します。
1・『すいすい解ける! 中学数学の文章題 驚異のサザンクロス方式』
以下のような構成になっており、第6章でしっかりと学習できます。
第1章 個数と価格の問題
第2章 過不足に関する問題
第3章 距離速さ時間の問題《速さ一定の場合》
第4章 距離,速さ,時間の問題《途中で速さが変わる場合》
第5章 原価定価売価の問題
第6章 食塩水の問題
第7章 人数構成(増減)の問題
第8章 平均の問題
第9章 数字間の関係の問題
第10章 新傾向の問題《規則性を見つける問題など》
わかりやすいイラスト付きなのでイメージがわきやすいです。解説も詳細でわかりやすいと評判の一冊です。もし食塩水の問題やそれ以外の単元が苦手と思っている方でもこの参考書でトレーニングすれば苦手を得意にできます。
2・『ハイクラス徹底問題集:高校入試編 数学 (国立・難関私立高校制覇)』
こちらの本は「本格的に高校入試の対策をしたい」と考えている中学生におすすめです。食塩水の問題はありますが、全て実際に入試で出題された過去問から選ばれています。
長年入試問題を研究している事から、良問が非常に多いです。実践的な学びをしたい方は是非チャレンジしてみてください。
3・『私立国立中学入試問題集 算数の極意シリーズ1 Part.1 数量1 【整数・計算・食塩水・速さ・お金】』
食塩水の問題は基本的に小学校で学習する分野です。そして中学生でやや発展させた問題を学習します。
つまり、食塩水の問題演習を積みたいならば小学校の応用レベルで十分に対応できます。こちらは難関中学受験にチャレンジする小学生向けに作られた参考書です。
しかし、「食塩水の問題演習をしたい!」と思っている中学生にも最適な内容となっています。
他の受験生と差をつけよう
食塩水には様々な出題方法があります。その中でも多くの高校受験生が苦手としている分野があります。
それは、食塩水の「蒸発」に関する分野です。これは食塩水を加熱するという問題であり、これができるかできないかによって、入試本番で差がつきます。
食塩水を混合する問題の方が頻出のため、演習問題の量も多いです。つまり、多くの受験生は「食塩水を混合する問題にはある程度慣れている」という事です。
しかし「蒸発」の問題は頻出とは言いにくく、なかなか演習を積むことができません。
逆にこの記事を読んでいるあなたが「蒸発」の問題に対応できるようになれば他の受験生と大きく差をつけることができます。
実際にこの問題を解いてみましょう。
問題1
「8%の食塩水100gが容器に入っている。ここからXgをくみ出し、残りの食塩水を加熱したところ、Xg減少し、濃度が14%になった。Xの値を求めなさい。」(大阪教育大天王寺)
答え
X=30
解けましたか?先ほどご紹介した解法で行えば、正しい答えを導き出せます。
まとめ
ここまで読んでみていかがでしょうか。
皆さんが想像していたより食塩水の問題は簡単だったのではないでしょうか?
ご紹介した解法に沿って徹底的に演習を積んで正答率を9割から10割まで上げる事ができたら全く心配はいりません。自信を持って試験会場に向かってほしいと思います。