光合成という言葉はアニメやゲームでも耳にするので、なんとなく植物がするものというイメージを持っている方も多いのではないでしょうか。
でも光合成は人間をはじめとする動物にはないはたらきなので、実際に何が起こっているのかイメージしにくいかもしれません。
この記事を読んで、光合成とはなにかをしっかり理解していきましょう!
光合成とは
植物の葉緑体に光があたると、水と二酸化炭素を材料としてデンプンなどの養分と酸素ができます。
このはたらきを光合成といいます。
光合成は、植物が生きていくために必要な3つのはたらき(光合成、呼吸、蒸散)のうちの1つです。
光合成を理解する上で覚えておきたいポイント!
概要がつかめたところで、ここからは光合成を理解するために押さえておきたいポイントをご紹介します。
- ポイント①光合成には光と葉緑体が必要!
- ポイント②光合成の材料は水と二酸化炭素
- ポイント③実験で確認しよう!
- ポイント④光合成と呼吸の関わり
では、順番に見ていきましょう。
ポイント①光合成には光と葉緑体が必要!
光合成は植物に特有のはたらきで、植物の緑色のもとである「葉緑体」と呼ばれる場所で行われます。
これを確かめるための実験として、ヨウ素液を用いたものがよく取り上げられます。
ヨウ素液を使った実験
葉全体ではなく葉の緑色の部分で行われることを確かめるため、白い部分(ふ)の入った葉がよく使われます。
①ふの入った葉を用意する
②アルミホイルを巻く
③光にあてる
④80℃くらいの湯であたためたエタノールで脱色する
(色の変化をわかりやすくするため)
⑤ヨウ素液につける
⑥光にあたっていて、かつ緑色の部分だけが紫色に変色する!
光にあてなかった部分は色が変化しないので、光合成には光が必要なことがわかります。
また光をあてても、緑色でない部分は変色していないため、光合成は葉の緑色の部分のみで行われていることがわかります。
顕微鏡での観察
葉の緑色の部分を顕微鏡で見てみると、葉の中の箱に入った緑色の粒が観察できます。
この箱を細胞と言い、緑色の粒を葉緑体といいます。
先ほどの実験で紫色に変化した部分を顕微鏡で観察すると、紫色になったのは葉緑体であることがわかります。
ポイント②光合成の材料は水と二酸化炭素
ここまでで光と葉緑体の2つが光合成に必要だとわかりました。
でも、光合成に必要なものは他にもあります。
なにもないところに光をあてただけでデンプンが生まれるとは思えませんよね。
植物は光合成の材料として、水と二酸化炭素を根や葉から取り込んでいます。
その材料と光のエネルギーを利用して、デンプンなどの養分と酸素を生成しているのです。
ポイント③実験で確認しよう!
では、本当に水と二酸化炭素からデンプンと酸素が作られているか確かめてみましょう。
高校入試では、光合成に出てくる物質の存在を確かめるための実験がよく出題されます。
どの物質の存在をどんな実験で確認するのか、対応関係をきちんと整理しておきましょう。
具体的な調べ方は以下の通りです。
- 水の必要性は量の変化で確かめる
- 二酸化炭素の必要性は石灰水かBTB液で確かめる
- デンプンが生成されるかはヨウ素液で確かめる
- 酸素が生成されるかは線香の燃焼などで確かめる
水の必要性は量の変化で確かめる
光合成に水が使われているかどうかは、光合成の前後で水の量をはかって変化しているかどうかで調べられます。
光をあてた後の水の量が減っていたら、光合成に水が使われた証拠です。
二酸化炭素の必要性は石灰水かBTB液で確かめる
二酸化炭素が光合成で使われたかどうかを調べるには、吐いた息の中に含まれる二酸化炭素を利用します。
葉に袋をかぶせたあと袋の中に息を吹き込んで密封し、光にあてた後の袋の中の空気を調べることでわかります。
光合成が行われた場合は袋の中の二酸化炭素がなくなっているので、
- 葉の中の空気を石灰水に通しても白く濁らない
- 葉の中の空気をBTB液に通しても青色のまま
という結果になります。
一方、光合成がなされていなければ袋の中に二酸化炭素が残ったままなので、
- 葉の中の空気を石灰水に通すと白く濁る
- 葉の中の空気をBTB液に通すと青色から緑色や黄色に変わった
という結果になります。
デンプンが生成されるかはヨウ素液で確かめる
ポイント①で見たヨウ素液を用いた実験から、光合成が行われた場合はデンプンが生成していることがわかります。
酸素が生成されるかは線香の燃焼などで確かめる
酸素ができたかどうかも、二酸化炭素のときのように袋を使って調べられます。
ただし、今度は袋の中に息を吹き込む必要はありません。
葉に袋をかぶせて密封し、光にあてた後の袋の中の空気を、煙の出ている線香に近付けます。
光合成が起きていれば燃焼を助ける酸素が作られているので、線香は燃え上がります。
光合成が起きていない場合は酸素ができないので、線香に変化はありません。
ポイント④光合成と呼吸の関わり
さて、光合成は植物が生きていくために必要な3つのはたらき(光合成、呼吸、蒸散)の1つだと学びましたね。
この3つのうち、光合成と呼吸は使う物質や生まれる物質が共通しているため、同時に出題されることも多いです。
光合成と呼吸の大きな違いは、光を必要とするかどうかです。
光合成は光が必要なため昼間にしか行われませんが、呼吸は昼も夜もずっと行われています。
昼は呼吸で生成する二酸化炭素より光合成で使用する二酸化炭素のほうが多いので、トータルでは酸素を出しているように見えます。
一方、夜は呼吸しか行われないので二酸化炭素だけを出しています。
実際にどのような問題が出題されるのか?
それでは実際の入試問題を解いてみましょう。
以下の問題は、平成30年度都立高校入試の大問4から抜粋したものです。
“ツユクサが葉で光合成を行う際に必要な二酸化炭素は、葉や茎から取り入れられることについて確かめようと考え、<仮説>を立てた。
<仮説>
葉の枚数や大きさ、色、茎の太さ、長さの条件をそろえたツユクサを2本用意し、水を入れた三角フラスコに挿し、一昼夜暗室に置く。翌日、暗室から取り出した2本のツユクサを、それぞれツユクサE、ツユクサFとする。ツユクサEには、葉の表側と裏側及び茎にワセリンを塗り、ツユクサFには、ワセリンを塗らない。ツユクサEとツユクサFにそれぞれポリエチレンの袋をかぶせた後、中に息を吹き込み図のように密封する。ツユクサEとツユクサFに光を3時間当てる。光を3時間当てたツユクサEとツユクサFの袋の中の気体を、それぞれ気体E、気体Fとする。
①気体Eと気体Fを石灰水に通すと、石灰水の変化は表1のようになる。
②光を3時間当てたツユクサEとツユクサFの葉を一枚ずつ取り、それぞれ熱湯につけて柔らかくした後、温めたエタノールで脱色する。脱色した葉を水で洗い、ヨウ素液に浸したときの葉の色の変化は表2のようになる。
表1と表2の両方の結果が得られると、ツユクサが葉で光合成を行う際に必要な二酸化炭素は、葉や茎から取り入れられると言える。
[問]<仮説>の表1の(1)と(2)、表2の(3)と(4)にそれぞれ当てはまるものとして適切なのは、下のアとイのうちではどれか。”表1 (1)ア:変化しない。 イ:白く濁る。
(2)ア:変化しない。 イ:白く濁る。
表2 (3)ア:変化しない。 イ:青紫色になる。
(4)ア:変化しない。 イ:青紫色になる。
では、早速解いていきましょう。
ツユクサEはワセリンを塗っているので、二酸化炭素を取り込むことができません。
一方、ワセリンを塗っていないツユクサFは光合成の材料である二酸化炭素を取り込めます。
よって、ツユクサEでは光合成が行われず袋に二酸化炭素が残ったままになるので(1)に入るのは「イ:白く濁る」です。
ツユクサFでは光合成が行われ気体Fの中の二酸化炭素はなくなっているので、(2)は「ア:変化しない。」が正解です。
次に、光合成が行われていればデンプンが生成しヨウ素液に浸したとき青紫色に変化するので、(3)は「ア:変化しない。」が入り、(4)は「イ:青紫色になる。」が当てはまります。
光合成の勉強方法について
問題の感覚がつかめたところで、勉強方法をまとめましょう。
ポイントに分けて覚えよう!
光合成では実験がよく出てきますが、使われるキーワードは種類ごとに整理すればそれほど多くありません。
- 行われている場所:葉緑体
- 必要なもの:光、水、二酸化炭素
- 生み出されるもの:デンプンなどの養分、酸素
- 確認に使われる溶液:石灰水、BTB液、ヨウ素液
このように、用語が何を表しているのかポイント整理して覚えるようにしましょう。
光合成の直前対策法!
それでは具体的に、光合成の直前対策としてどのようなことに取り組めば良いのでしょうか?
物質と実験の対応関係を覚えておく!
光合成に関する物質や光合成の有無を確かめる実験は、高校入試によく出題されるテーマです。
大問まるごと光合成について出題されることもあります。
どの物質を確かめるのにどんな実験が行われるのか、ポイント③をよく読んで対応関係をしっかり頭に入れておきましょう。
まとめ
光合成がどんなはたらきでどんな実験で確かめられるのか、きちんと整理できたでしょうか?
はたらき自体はシンプルですが、入試問題によく取り上げられる分野です。
ここで理解を深めて、高得点につなげていきましょう!