都立高校では、基本的にどの高校も共通の試験問題が出題されますが、立川高校のような難関校では独自問題が出題されています。
立川高校では国語、英語、そして数学が独自問題となっています。独自問題は高校ごとに傾向等も異なるため、入試内容に合わせた対策が必要です。
本記事では、立川高校を目指す生徒様向けに、立川高校入試の「数学」の傾向と対策を分析していきます。
都立立川高校入試数学の傾向分析
まず、都立立川高校入試の数学はどのような傾向で出題されるのでしょうか。問題構成と出題傾向、難易度などを分析してみました。
都立立川高校入試数学の大問構成と出題範囲
令和2年度の立川高校の数学は以下の問題構成になっていました。
大問1:小問集合(全25点:5問)
大問2:関数(全25点:4問)
大問3:平面図形(全25点:3問)
大問4:立体図形(全25点:3問)
令和2年度は例年より大問2の問題数が1問増え、点数配分が若干変化しました。しかし、問題傾向や構成は例年通りでした。
大問2~4にはそれぞれ1つずつ計算過程を記述する問題があり、合計で約30点分を占めています。
記述問題をどこまで書けるかが合否の分かれ目ですが、50分という制限時間の中で全て解くのは難しいです。
そのため解くべき問題を見極める、計算を簡略化させるなど、時間の使い方が重要になってきます。
また、解答の方向性もわからず記述し始めることは避け、解答の流れを意識してから取り掛かるようにしましょう。
では、ここからは各大問の出題傾向を見ていきます。
小問集合
過去3年間で毎年出題されている問題は「方程式の計算」「確率」「作図」です。その他、年により「平方根」と「データ分析」を扱うことがあります。
小問集合の計算問題は単純な考え方のものが多いため、落としてはいけない問題です。作図問題は柔軟な発想が要求されるため比較的難しいでしょう。
円を中心とした図形の性質を駆使して、問題を解くことができるかが大事になってきます。
関数
二次関数を題材に、図形を絡めた問題が出題されます。小問1は標準的な問題であることが多いので、点を落とさないようにしましょう。
例年では、2~3問は答えのみを答える問題ですが、必ず1問は導出の過程を記述する問題が出題されています。
問題の傾向は以下のようになっています。
- 座標、関数の式の導出問題
- 面積に関する問題
- 軸を回転させたときの体積の導出問題
一見難しそうでも工夫すれば楽に解答できる問題も出題されますので、解き始める前に「より効率の良い解き方はないだろうか」と考えてみましょう。
平面図形
円や三角形、四角形を題材にした問題が出題されます。
例年、2問が答えのみ導出する問題、必ず1問は導出の過程を記述する問題です。
問題の傾向として
- 線分の長さ導出問題
- 相似、合同の証明問題
- 面積の導出問題
などが多く出題されています。
各図形の性質を理解した上で、適切に活用する能力が求められます。また、適切な箇所に補助線を引くなど、図形の俯瞰的な把握が必要となります。
特に証明問題では、何工程もかけて証明しなければならず、途中で解答の道筋が見えなくなりがちです。
そのため、三平方の定理、錯角、円周角の定理など大事な定理は覚えるだけにとどまらず、適切に活用できるように慣れておきましょう。
空間図形
過去3年間では、「立方体」「円錐」「直方体」が題材になっています。例年、2問が答えのみ導出する問題、必ず1問は導出の過程を記述する問題です。
平成30年度から令和2年度の問題はそれぞれ以下の通りです。
- 立方体に入った四角錐の頂点を移動させる問題
- 円錐を円に沿って回転させる問題
- 直方体の内部の交点に関する問題
求めづらい側面積、体積などを求めさせる問題が出題されることが多く、難度の高い問題です。
ある図形を回転させた場合の体積、など空間認知力を高めておかないと苦戦を強いられると思います。
都立立川高校入試数学の難易度
都立立川高校は都内の高校でも難関校に位置付けられており、合格に必要とされる偏差値は67~69と言われています。
必要な内申点は42以上で、合格確実圏は44以上のようです。一般入試での倍率は1.7倍付近を推移しています。
数学は図形問題を中心に難解な問題が多いのが特長です。
記述問題が3問あるので、時間の余裕はありません。短時間での高度な計算能力と図形の認識能力、柔軟な発想力が求められるので、難易度は高いと言えます。
都立立川高校入試数学解答の際の時間配分
試験時間は、共通問題と同じ50分間です。
解答の際の時間配分は、以下の配分を目指してみましょう。
大問1:小問集合(5分)
大問2:関数(10分)
大問3:平面図形(20分)
大問4:立体図形(10分)
ただ、問題の難易度が高いので全てを解き終えることは難しいと思います。数分悩んでも「解けない」と感じたら次の問題に移るのが得策です。
解く順番は大問1から順番通りが良いでしょう。ただ、個人の得意分野などの兼ね合いを考えて、もっともよい解答順を演習の中で見つけていってください。
都立立川高校入試数学の対策と勉強法
都立立川高校入試の数学は、すばやい計算力と柔軟な発想、論述能力が要求されます。
では、具体的にどの時期にどのような対策をすればいいのでしょうか。ここからは都立立川高校入試数学の時期別の対策と勉強法についてまとめていきます。
中1・中2のうちにやっておきたい対策
この時期は過去問や応用問題に取り組む必要はありません。
授業で分からない点やニガテだと感じた分野があれば、徹底的に勉強しておくべきです。この時期の理解の不十分が入試当日の命取りになってしまいます。
数学で遅れを取らないよう、日々の授業を大切にしましょう。
中3の夏前までにやるべき対策
中3の教科書の内容は全て終わらせることを目標に勉強しましょう。
都立立川高校入試の数学では、「二次関数」「円」「相似」「三平方の定理」など中3の後半で勉強する内容が多く出題されるので、早めに習得しておく必要があります。
中3の夏休みにやるべき対策
問題集にたくさん取り組み、基礎を完璧にさせましょう。特に、図形分野は入試問題の多くを占めるので、公式や定理などを使いこなせるようになっておくべきでしょう。
この時点で、自分の力を試すために立川高校の過去問を解いてみても良いかもしれません。
自分の立ち位置や苦手分野を認識して、計画的に勉強を進めましょう。
中3の秋に取り組むべき対策
発展的な内容を扱う問題集で演習していきましょう。問題集はいくつかに厳選して、何度も繰り返し解いてください。
並行して、立川高校や同レベルの自作問題の過去問に取り組むことをオススメします。
この時期に、実践的な力をつけていきましょう。
中3冬・受験直前期に取り組むべき対策
継続して自作問題の過去問に取り組むのがよいでしょう。この頃の過去問演習では、時間を意識して解くようにしてください。
秋から演習をしていれば立川高校の難易度に対応できる力はついているはずなので、解答のペースを本番に合わせて解きましょう。
まとめ
都立立川高校の数学はスピードと論述力、発想力が必要になります。発想の転換や状況の理解が大切なので、すぐに解こうとするのではなくて「工夫できないか」を考えましょう。
早い時期から数学の知識と能力を高めて、発展的な内容でも対応できるようにしましょう。