多くの都立高校では共通の試験問題が出題されますが、立川高校のような難関校では独自問題が出題されています。
立川高校では数学、英語、そして国語が独自問題となっています。独自問題は高校ごとに傾向等も異なるため、入試内容に合わせた対策が必要になります。
本記事では、立川高校を目指す生徒様向けに、立川高校入試の「国語」の傾向と対策を分析します。
都立立川高校入試国語の傾向分析
まずは、都立立川高校入試の国語はどのような傾向で出題されるのかを見ていきます。
問題の構成と出題傾向、難易度などを分析してまとめました。
都立立川高校入試国語の大問構成と出題範囲
令和2年度の立川高校の国語の大問構成は以下のようになっていました。
大問1:漢字の読み(全10点:5問)
大問2:漢字の書き取り(全10点:5問)
大問3:物語文(全24点:6問)
大問4:論説文(全36点:6問)
大問5:現古融合文(全20点:5問)
過去3年間で、大問3〜5の問題数に若干の偏りがありますが、構成や問題傾向に大きな変化はありません。
では、ここからは各大問の出題傾向を見ていきます。
大問1, 2 漢字の読み書き
出題漢字は漢検3級(中学卒業レベル)ですが、引っ掛かりやすい箇所を狙った出題が多いです。また、幅広い語彙が求められることも特長です。
さらに、過去3年連続で四字熟語から1問出題されているので注意が必要です。漢字だから簡単だと思わずに、受験生が引っ掛かりやすい漢字を重点的に習得しておきましょう。
大問3 物語文
過去3年間は全て選択問題で出題されています。
出題傾向は以下の3パターンが多いです。
1. 登場人物の行動の理由を問う問題
2. 登場人物の様子や気持ちを問う問題
3. 表現の効果や内容について問う問題
物語文は「理由」→「気持ち」→「結果」の流れで説明しうるとされています。
問題文の選択肢も同様に、「○○したことで、○○だから」「○○したことで、○○な様子」などと原因と結果がセットで書かれていることが多いです。
まずは問題の選択肢を見る前に、「登場人物が何を理由にしてどう思ったか」を考えてみましょう。
その後に問題の選択肢を見て、理由と結果が自分の考えと一致しているものがあればそれを選びましょう。
誤りの選択肢は理由か結果のどちらか、または両方が的外れに書かれているはずです。迷った場合は、もう一度本文を確認して丁寧に読み取りましょう。
表現の効果や内容について問う問題は、3年連続で出題されています。
この問題は「○○という技法が使用されることで、○○が表現されている」というような選択肢になっていることがほとんどです。以下の3点を意識して問題を解きましょう。
- 本文で前半の表現技法が使われているか
- 後半の記述が本文の表現と一致しているか
- 前半や後半の記述が整合しているか
本文内で比喩表現、体言止め、会話での方言、擬態語などが多用されている場合は選択肢になりやすいので、本文を読む際に注目しておきましょう。
また、本文がどの視点で語られているのかは、特に注目すべきポイントです。
大問4 論説文
令和2年度の論説文では、2問の記述問題(合計で180字以内)が課されています。
平成30年度と平成31年度でも、200字以内の記述問題が1問出題されています。
200字記述の問題であれば、10分以内に解けるようにしておきましょう。
過去3年間で出題された記述の形式は「○○とはどういうことか」「筆者がこのように述べたのはなぜか」「○○についてどう考えるか」です。
問いの形式に合わせて「~ということ。」「~から。」「~と考える。」など、解答の構成を考えて記述しましょう。
問題によっては、「具体例を挙げて」という条件が付く場合があります。そのときは自分の体験談や歴史上の事柄などを踏まえて、本文と問題に沿った適切な例を考えましょう。
選択問題の過去3年間の傾向としては主に3パターンあります。
1. 本文中の言葉について「どういうことか」を問う問題
2. 筆者の発言の意図について「なぜか」を問う問題
3. 本文の構成・表現について問う問題
1と 2を解く際は、自分ならどう書くかをイメージしながら問題文を読みましょう。あらかじめ筆者の主張を整理しておくと解きやすいです。
正しい文章は、筆者の主張が過不足なく書かれているはずなので、迷ったときは選択肢が筆者の主張とずれているか否かを確認しましょう。
選択の文章の中で間違っていると思った箇所にしるしをつけておくと、見直しや答え合わせの時に「ここの記述が本文と違うからこの選択肢は間違いだと思ったんだ」と自分の思考をたどることができるのでオススメです。
3の本文の構成や表現について問う問題は、主に「論理展開の順番」「引用や例の使い方」「筆者の主張の立場」などについて問われることが多いです。
- 結論が提示されている箇所は最初か最後か
- 引用や例は筆者の主張の補強のためなのか否定するためなのか
- 筆者の主張は一般的な見方なのか新たな見方なのか
など本文を読んでいる際に着目しておきましょう。
大問5 現古融合文
立川高校の古文は、和歌や古典作品に関する現代評論といった形式で出題されます。そのため、現代語訳や古文読解の問題は少なく、評論の読み取りの傾向を帯びています。
和歌の表現技法や古典常識についてがテーマになることが多いため、古典の前提知識がないと解きにくい問題になっています。
過去3年間は選択問題と抜き出し問題が1問出題されていますが、平成26年度以前はそれに加えて記述問題も出題されていました。
和歌や古典に関する知識を深めたうえで、評論読解の対策をしておきましょう。
都立立川高校入試国語の難易度
都立立川高校は都内の高校でも難関校に位置付けられており、合格に必要とされる偏差値は67~69と言われています。
必要な内申点は42以上で、合格確実圏は44以上のようです。一般入試での倍率は1.7倍付近を推移しています。
国語は長文読解がメインになり、200字程度の記述問題があるため、時間の余裕がありません。
また幅広い語彙力や古典の知識が必要になるうえ、論説文でも難しいテーマを扱うため、前提知識が必要になってきます。
必要となる能力や知識が多いため、難しいと言えるでしょう。
都立立川高校入試国語解答の際の時間配分
試験時間は、共通問題と同じ50分間です。
解答の際の時間配分は、以下の配分をオススメします。
大問1:漢字の読み(1分)
大問2:漢字の書き取り(1分)
大問3:物語文(10分)
大問4:論説文(23分)
大問5:現古融合文(15分)
解く順番は、「大問1, 2」→「大問5」→「大問4」→「大問3」が良いでしょう。知識で解くことができる「古文」、着実な読解が必要な「論説文」、流し読みが可能な「物語文」の順で解くことが受験の鉄則です。
ただ、得意分野や出題傾向との兼ね合いもありますので、過去問を通して自分のペースを見つけていきましょう。
特に、立川高校の古文は現代評論の形を取っているので、古文の文法や知識だけで解くことができる問題が少ないです。
筆者の主張を時間をかけて読み解く必要があるので、どの順番でどのくらいの時間をかけるのかは大事なポイントになってきます。
都立立川高校入試国語の対策と勉強法
都立立川高校入試の国語は、論理的な読解力とあらゆる分野への豊富な知識が要求されます。
では、具体的にどの時期にどのような対策をすればいいのでしょうか。ここからは都立立川高校入試国語の時期別の対策と勉強法について解説します。
中1・中2のうちにやっておきたい対策
この時期は、読書や学校の授業などで知識を蓄える期間です。漢字はもちろん、古典常識や和歌の基本などを知っておくと後々有利になります。
また、色々なジャンルの論説文を読むことで、どんなテーマが議論されやすいのか、どんな主張があるのかなどをざっくりと把握しておくと、論説文も読みやすくないます。
物語文が苦手な人は、今のうちに小説をたくさん読んで、比喩表現や擬人法など小説特有の表現を覚えておきましょう。
物語文は論理的に読むことも可能ですが、直感が力を発揮する場合もあります。
この直感はあてずっぽうではなく、今までの読書量に基づいた経験なので、時間のあるうちにたくさんの本を読んでおくことをオススメします。
中3の夏前までにやるべき対策
中3の夏休み以降は読解の対策をすることになるので、今のうちに漢字や語彙などは覚えておきましょう。
漢字はまずは漢検3級レベルを習得してください。また、語彙を増やすために小説や評論などで見かけた単語を積極的に覚えていきましょう。
古文単語などは、授業内で習ったものを覚えておく程度で大丈夫です。
中3の夏休みにやるべき対策
今までに習った内容を完璧にしておきましょう。秋以降は数学や英語などに専念したほうが良いので、国語に苦手意識のある人は早めに対策しておくことをオススメします。
文章読解や記述の力をつけるために、時間のあるうちに問題集やワークなどにたくさん取り組んでおきましょう。
また、この期間に都立立川高校の問題に50分の時間制限でチャレンジしてみてください。ここで難易度や自分の立ち位置を知って、これからすべきことを考えるのは大切なことです。
時間配分、解く順番、記述問題にかける時間などを考えて、自分に合ったペースを把握しておきましょう。
中3の秋に取り組むべき対策
物語文、論説文、現古融合文それぞれ自分なりの解き方を確立しましょう。
解き方のコツや時間配分を意識しながら都立立川高校の過去問に取り組んでください。制限時間より早く解き終わることを目標にしましょう。
立川高校以外の独自問題出題校の過去問にも取り組み、実践力をつけていってください。
答え合わせや添削を丁寧に行い、文章読解や記述力をブラッシュアップしていきましょう。
中3冬・受験直前期に取り組むべき対策
他の教科の勉強が大変になる頃です。
この時期までには読解力は十分なほどにつけておきましょう。新たに力を養うよりは「養った力を失わない」ということを意識してください。
漢字、語彙に始まり、読解の仕方、記述の仕方などスキルを再確認するかのように問題に取り組んでおきましょう。
まとめ
都立立川高校の国語はスピードと内容読解力、潤沢な知識、論理的な記述力などオールマイティーな力が求められます。
受験直前期になるとほかの教科に時間をかけたくなると思います。それを見越した早めの対策で、十分な知識を蓄えたうえで、自分なりの解き方を確立させておきましょう。