都立新宿高校は「進学重視単位制高校」に指定されており、入試で独自問題が出題されています。
そんな都立新宿高校の数学独自問題では、計算問題、証明問題、作図問題など幅広い形式の問題が出題され、総合的な数学の力を測る試験となっています。
今回はそんな都立新宿高校の数学独自問題の解説をしていきます。
都立新宿高校入試数学の傾向分析
都立新宿高校の数学独自問題について、問題の構成と出題傾向、難易度をまとめました。
都立新宿高校入試数学の大問構成と出題範囲
都立新宿高校の数学独自問題の大問構成は以下の通りです。
- 小問集合(全40点)
- 二次関数のグラフ(20点)
- 平面図形(全20点)
- 立体図形(全20点)
これは2020年度の入試の大問構成であり、大問2以降の細かい問題内容は年度によって変化します。ただし、図形問題、グラフ問題は必ず毎年出題されています。
ここからは各大問の詳細を見ていきます。
大問1 小問集合(全40点)
大問1の小問集合では、中学校で習った全ての範囲から満遍なく7問出題されます。難易度は教科書の練習問題~章末問題程度です。
基本的に都立新宿高校を受ける受験生なら誰でも解ける程度の難易度の問題ではありますが、この大問で重要になるのは素早く正解を導いていく問題処理能力です。
特に計算力はこれ以降の大問全てでもキーとなる能力なので、日頃から計算ドリルを解いたり、時間を測って問題を解く練習をしておきましょう。
大問2 二次関数のグラフ(全20点)
大問2では二次関数のグラフに関する様々な問題が出題されます。大問2~4の難易度は全て教科書の章末問題を少し超える程度です。
二次関数の問題で頻繁に問われるのは
- 二次関数の式とグラフの頂点
- グラフ上またはグラフ外の2点を通る直線の傾き
- 値の取る範囲
などです。二次関数は図形分野との融合問題が出題されやすく、こんがらかった印象を受ける人も多いかもしれませんが、このように二次関数分野のみに限れば問われることは非常にシンプルです。
まずは、二次関数とそのグラフに関する基礎的な知識を身に着け、素早く計算できるようになりましょう。
その後、実際に問題に取り組みながら、一見複雑に見える問題は一歩ずつ解きほぐしていく感覚を養うのがベストです。
大問3 平面図形(全34点)
大問3では平面図形に関する問題が出題されます。昨年度は、「二等辺三角形の証明」が出題されました。
大問3の特徴としては、例年証明問題が出題されることです。高校入試で出題される証明問題は多数のバリエーションがありますが、そこで使う知識は
- 合同・相似
- 角の二等分線・垂直二等分線
- 円周角の定理
- 錯角・同位角
程度であまり量は多くありません。ただ重要なのは、これらを知識として知っていることと、実際に問題を目の前にして使えるかどうかは全く別問題ということです。
図形問題全般に言えることですが、単純に公式だけを覚えてもあまり力を発揮しません。実際にたくさんの問題に取り組んで、経験を積まないと見えてこないものがあります。
練習の際もすぐに答えを見て分かった気になるのではなく、答えがでなくても色々と試行錯誤して悩むことが重要であり、その悩んでいる時間にこそ図形問題の力は伸びていくものです。
また、教科書範囲外ではありますが、「メネラウスの定理」など知っていると一気に答えに近づける知識もありますので、余裕がある人はぜひ目を通しておきましょう。
大問4 立体図形(全20点)
大問4は立体図形に関する問題です。2020年度は立方体とその辺上を動く点に関する問題が出題されました。
「立体図形」と聞くと、アレルギーのように苦手意識を持っている受験生も多いですが、実は高校受験の範囲での「立体図形」の問題はほとんどが「平面図形」の問題です。
もう少し分かりやすく言うと、立方体などの「立体図形」の、どこか一平面に関する「平面図形」の問題が出題されています。
つまり、大問4は「立体図形」という分野からの出題ではあるものの、勉強するべきことは基本的に「平面図形」と変わりません。
まずは「平面図形」に関する問題をある程度解けるようになった後に、「立体図形」の問題を「平面図形」の問題として捉える力を養う、という順番で勉強を進めていくことが重要です。
都立新宿高校入試の難易度
難易度に関しては、全体的に教科書の章末問題を超えるレベルの問題も出題されており、確かな数学力が必要とされています。
また、数学という科目全般に言えることですが、難しい問題を解く力に加え、標準的な問題を正確に、素早く解く力が何よりも重要になります。
問題演習を重ねて、スピードと正確さを両立できるようになりましょう。
都立新宿高校入試国語解答の際の時間配分
都立新宿高校の数学の制限時間は50分です。小問集合と大問3つを50分で解くという厳しめの時間設定になっているため、時間配分は非常に重要です。
以下の時間配分をサンプルとして、自分なりにアレンジを加えていってみてください。
- 大問1 小問集合 10分
- 大問2 二次関数のグラフ 12分
- 大問3 平面図形 14分
- 大問4 立体図形 14分
大問1の小問集合に関してはとにかく素早く解くことが重要です。独立した小問であるため、すぐに方針が立たないときは思い切って飛ばして後に回すという判断も有効です。
大問2~4に関しては、人によって向き不向きがあり、また問題の難易度の差があることも珍しくありません。それらも考慮して時間配分を行う必要があります。
また、数学の怖い特徴に、「大問の途中で止まってしまうとその後が全滅してしまう」というものがあります。それに対処する方法は個人の性格や実力によって変わってきます。
ぜひ試験と同じ時間で過去問を解く練習を積み、ハプニングが起きたときの対応を事前に決めておきましょう。「想定外」を想定しておくことが受験で成功する為の秘訣です。
都立新宿高校入試数学の対策と勉強法
ここでは、都立新宿高校の数学の対策と勉強法についてご紹介します。
時期別にまとめていますので、受験学年以外の人も参考にしてください。
中1・中2のうちにやっておきたい対策
数学に関してはこの時期からの積み重ねが受験学年での大きな差を生みます。といっても、まだ過去問などの難しい問題に取り組む必要はありません。
基礎問題を何度も反復して、とにかく正確に、素早く溶けるようになることを意識しておきましょう。定期テスト対策も各単元の理解を深めるために重要です。
中3の夏休みにやるべき対策
夏休みは一気に数学の力を伸ばす最後のチャンスです。今まであまり数学の勉強をしてこなかった人は、とにかく自分の苦手をさらいだして、問題演習に励みましょう。
最初は全く分からずイライラするし、秋になっても夏休みの勉強の成果が出ずに焦るかもしれません。
でも安心してください。勉強の成果は半年ほどたったころに一気に現れるものです。夏休みの今積み重ねておくことが、受験目前を控えた自分を助けるのだと思って精いっぱい取り組みましょう。
中3冬・受験直前期に取り組むべき対策
数学の冬・直前期の学習はとにかく問題演習を行うことです。「知ってはいるけれどいざという時に使えない」知識を「得点に繋がる知識」に変えるためには問題演習しかありません。
ただし、問題を解く⇒分からない⇒答えを見て分かった気になる⇒問題を解く……といったことを繰り返していても何も身につきません。
「どれだけ試行錯誤して悩む時間を取れるか」が数学の全てといっても過言ではありません。
また、問題を解く際に漠然と眺めるのではなく、求める答えから逆算してどんな情報が必要かを考える力も重要です。
まとめ
今回は都立新宿高校の数学入試について解説しました。
都立新宿高校の国語の問題は、問題の難易度が全体的に高めで、時間制限も厳しく差が付きやすい問題です。
何度も言いましたが、数学の力はとにかく問題演習を積むことで向上していきます。数学が苦手な人も、数学から逃げずにコツコツと演習に取り組んでいってください。
最初の難関を超えれば、だんだんと数学が楽しくなってくるはずです。頑張ってください。