高校受験キホンのキ(東京都版)

高校入試の出題範囲は
学校の種類ごとで
どのように違うのか?

多くの人が経験のある高校受験ですが、現在の高校入試では制度や試験内容のあり方が大きく変わってきています。

今回は、高校入試の出題範囲を「私立」と「都立」の違いに注目しながら解説していきます。

高校入試ではどのくらいの範囲を勉強すべきなのか?

高校入試対策をする上で、「どれくらいの範囲を勉強するべきなのか」を明確に理解しているお子さんは少ないでしょう。ほとんどの中学生にとって受験は初めての経験であるため無理もありません。

そして、そのような初めての経験をする以上、どのようなお子様にも不安は多かれ少なかれあるのではないでしょうか。

私立と都立で出題範囲が違う!

高校受験入試においては、基本的に中学生が共通して勉強している「教科書」の範囲から問題が出題されます。

しかし、それはあくまでも基本です。「私立高校」「都立高校」「一部ハイレベル都立」では、受験における出題範囲が異なります。

そのため、早めに志望校を確定することによってスムーズに受験対策を練ることが可能なのです。

私立と都立の出題範囲の違いについて

では、具体的に「私立高校」と「都立高校」では、出題範囲にどのような違いがあるのか。詳しく見ていきましょう。

都立の出題範囲

一般的に都立の試験は教科書の範囲内から出題されます。試験では中学3年間で学んだ内容が均等に出題されますので、丁寧に基礎から見直しましょう。

また、私立入試に比べて一つの設問に対する配点が高いことが都立入試の特徴として挙げられます。

5教科が基本

都立高校入試では、都道府県ごとの統一入試問題による学科試験が実施されます。

試験は5科目(英・数・国・理・社)で、通常は傾斜配点(特定の科目の優遇)はありません。試験問題も一部の高校や学科を除けば同じ構成です。

また2018年度入試から、進学校として指定されている「進学指導重点校」及び「進学重視型単位制高校」では、各学校が求める生徒を選抜するための独自問題を作成しています。

さらに併設型中高一貫教育校は、グループ作成による効果やメリットを活かして入試問題をグループ作成しています。

なお、独自問題を出題する自校作成校のうち、特に「日比谷高校」「西高校」「国立高校」をはじめとする進学指導重点校では、2018年度以降の入試問題が難化しました。

教科書の範囲がベース

試験の内容は「中学2年3学期までの内容」が「70%」を占めます。

全体の試験範囲は、「中学1、2年生の学習内容」に加え、「中学3年生の1年間の学習内容のうちおおむね7か月程度で学習可能なところまで」と決められているのです。

そのため、中2のお子さんは一度過去問を解いてみることをオススメします。例えば、中2の段階で習うであろう英語の「不定詞」や「動名詞」などの授業内容は高校受験では頻出の単元ですこれらの勉強を早めにやっておけば後からかなり差をつけることができます。

教科書の範囲をベースにしている以上、受験対策は中学3年生になる以前から十分取り組めるのです。

内申点も重要になる

また、「都立入試」の場合は「内申点」も総合得点に含まれています。

「調査書」とは中学校から高校に提出される書類であり、その調査書に受験生の成績等が記載されています。

そして、記載内容のうち9教科(英数国理社+実技4科)の成績を得点化したものを一般に「内申点」と呼びます。

この内申点は、「調査書点」として入試の合否判断に使用されます。都立の一般入の場合、全ての点数のうち内申点の割合は「30%」に定められています。内申点の割合は地域によって異なるので自分が受験する場所を確認しておきましょう。

一般入試で5科の成績はそのままの数値で扱われますが実技4科については成績の数値が「2倍」になります。したがって、「45点満点」ではなく「65点満点」となります。

これをさらに「300点満点」の調査書点に換算したうえで、合否判断に使用します。

ちなみに、合否判定に使われる内申点の時期は地域によって異なり、都立の場合は中3のときの成績が使用されます。

このように全体の成績の「30%」が内申点によって決まることを考えると、決して無視できる存在ではありません。

もし都立高校への進学をお考えであれば、日頃の提出物や授業態度を意識することが合格への近道になります。 

私立の出題範囲

ここからは、「私立高校」の出題範囲を見てみましょう。

3教科が基本

私立の一般入試は基本的に「国語」「数学」「英語」の「3教科」で行われます。

最近では「英語」と「国語・数学のどちらかを選ぶ」という「2教科」方式の学校も出てきました。試験問題の内容は当然学校によって異なります。

教科書の範囲を超えてくる

一般的に都立高校に比べ、私立高校は教科書のレベルを超えた難しい問題が出題される傾向があります。そのため私立高校の一般入試は全体的に難易度が高いと言われているのです。

特に最難関と呼ばれるトップクラスの進学校や早稲田大学・慶應大学の附属高校では、教科書では網羅されていない範囲からの問題が出題される傾向にあるので、合格するためには特別な対策が必要です。

具体的な対策としては、早めの段階で志望校の過去問題集に取り組むことが挙げられます。5年程過去問取り組むことで、大まかな難易度や出題傾向を掴むことができるでしょう。

もちろんこれだけでなく、志望校に合わせた参考書を使うことも重要です。

内申点はあてにしない

さらに都立との大きな違いの一つは「内申点の比重の有無」です。

私立入試の場合、内申点は基本的に入試に反映されません。つまり「当日の試験結果が全てである」と言えます。

また、出題される問題数も多いため、1問当たりの配点が低いのが特徴です。内申点が合否判定に使えない分、試験本番でしくじるわけにはいきません。

そのため問題量は多いですが、わからない問題が出てきても焦らず、自分の出来る問題から着手していく対応力も重要となります。

入試制度を上手に活用しよう!

以上、「私立高校」と「都立高校」の特徴を比較しながら、出題範囲について説明しましたこのように志望校によって出題範囲は異なります。

そのため、そこに合わせた対策を行うためにもなるべく早く志望校を決めることが大切です。

また、出題範囲への対策が必要なのはもちろんですが、私立には単願制度などもあります。それらを上手に活用できれば、今のレベルよりも難しい問題が出題される高校に合格できるチャンスも生まれるでしょう。

こうした制度も踏まえながら、お子さんの内申点や得意科目を基に志望校を決めることが重要です。