高校受験キホンのキ(東京都版)

【高校入試】中3夏から
受験勉強をしても
間に合うのか?

中学3年生の1学期に実施された中間試験の結果を見て「このままでは受験が危ないのではないか」と心配される保護者の方は多くいます。

結論としては、このタイミングから勉強に集中すれば、高校には合格できます。ただし、選択肢は限られる上により多くの努力は必要です。今回は中学3年生の夏から焦って受験勉強を始める人に向けて、「置かれている状況」「これからやるべきこと」についてご説明します。

中3夏からの勉強で子供が合格できるのか心配・・

中学3年生の夏になると「子供が受験に成功するか心配…」と考えることでしょう。部活に打ち込む気持ちはわかるものの、勉強も頑張ってもらいたいと思うはずです。

ただ、そこで気になることは、「そもそも中学3年生の夏から勉強しても間に合うのかどうか」ではないでしょうか。もし間に合わないのであれば、もっと早くから勉強させなければなりません。以下ではそのような気持ちにお答えしていきます。

高校レベルによってはギリギリ間に合う

結論としては、高校レベルによってはギリギリ間に合うタイミングです。「開成高校」「早稲田高校」「筑波大学付属高校」など最上位高校は難しいですが、上位校ならば合格を狙えるでしょう。

以下では、状況を踏まえてなぜ最上位高校は難しいのかをご説明します。

教科書以上の範囲が出るから

最上位高校に合格するのが難しい理由は、教科書以上の問題が出るためです。

基本的に勉強は、日々の積み重ねで教科書レベルの知識を定着させます。受験問題を解く基礎となりますので、時間をかけて勉強します。この積み重ねとは、中学校での学習はもちろんのこと、帰宅してから復習をしたり学習塾で勉強することも含まれます。

普通の都立高校レベルであれば、この勉強だけでも十分な可能性は高いです。しかし「独自入試を行っているレベルの高い都立高校」を受験したり、「早稲田・慶応の系列など最上位高校と呼ばれる私立高校」を受験したりするのであれば、これらの知識に加えて「教科書の範囲を超えた応用的な知識」が求められます。

つまり、この応用的な知識を定着させるためにはさらに多くの時間を使わなければならないのです。これを中学3年生の夏からスタートするのは現実的ではありません。

スタートに出遅れてしまうと、応用的な知識の定着に時間が割けません。そもそも基礎が曖昧なままでいきなり応用を身につけようとするのはかなり厳しいです。その結果、最上位高校を受験するのは学力不足から難しくなってしまいます。

独自問題に慣れることができない

独自問題が出題されるとの観点からも、合格は難しいです。

私立やハイレベル都立では独自問題の出題が一般的です。さらに先ほどのような最上位校であれば、特に難易度の高い問題が出題されるでしょう。つまり高校の難易度が高くなるにつれて、応用的な知識の定着を試される独自問題が出るのです。このような問題に対応するには、独自問題の数をこなし慣れるしかありません。

しかし、独自問題を解くためには、そもそも上記で触れたとおり基礎的な知識の定着が必須です。

中学3年生の夏から頑張ったとしても、「基礎的な知識」「独自問題への慣れ」の両方を定着させるのは難しいでしょう。そのため最上位高校の受験は難しくなってしまいます。

中3夏から勉強するのであれば覚悟と計画は必須!

もちろんだからといって「最上位以外の高校であればどこでも合格できる」というわけではありません。そもそも始める時期が遅い以上、合格するためには、受験まで必死に勉強する覚悟と適切な計画が必要です。

以下では計画を立てるにあたり、考えるべきことをご説明します。

過去問を意識する

中学3年生の夏ですので、過去問を利用した学習を意識します。志望校は決めきれていないかもしれませんが、現時点での志望校の過去問を購入しましょう。特に独自問題が出題されるような高校を志望しているなら、なおさら形式や傾向に慣れておく必要があります。

過去問を解く際は必ず時間を測定します。本番と同じ時間内で、「どこまで問題が解けて何点獲得できるのか」を把握できるようにするのです。

ただ、制限時間が不足したからといって、残りの問題を解かなくて良いわけではありません。制限時間内に解けた問題とそうではない問題が後から判断できるようにマークをつけておき、最後までやりきります。

特定の参考書を完璧にする!

それぞれの教科で、1〜2冊の参考書を完璧にしましょう。多くの参考書をつまみ食いする勉強はおすすめできません。なぜなら、網羅的な参考書であれば、1冊を完璧にするだけで十分な実力が身につくためです。問題を何周も繰り返し解くことで、反復による知識の定着が図れます。良い参考書であれば、この学習だけで十分なのです。

ただ、何周もしていると答えを丸覚えしてしまいます。これでは「本当に理解が定着しているかどうか」を判断できません。そのため、2冊目の参考書も用意して、定着度合いの確認をしましょう。こちらの参考書も難なく解けるのであれば、受験に通用する知識があると考えられます。

逆に多くの参考書を手にしてしまうと「理解が定着している単元」「理解が定着していない単元」が分かりにくくなります。何周も同じ問題を解かないため、間違えた問題を解けるようになっているのか判断できないのです。

やるべきことを絞る!

志望校合格のために必要な内容に絞って学習をしましょう。

中学3年生の夏から勉強するとなると、悠長な勉強はしてられません。志望校合格のために、「必要なこと」だけをします。

具体的には、まず教科ごとに過去問の内容を整理します。上記では過去問を「解く」とご説明しましたが、今度は「整理」していきます。今回は数学を例に出してご説明をします。

数学の過去問を整理してみると「図形問題が多い」「文章題が多い」「計算問題が複雑」などの特徴が見えてきます。過去問を購入している場合は整理した内容が記述されていますので、そちらを参照すると早いでしょう。

ここで整理された結果がまさに「今やるべきこと」なのです。特に苦手な単元が含まれていれば、まずはそこからやるべきです。受験に出そうな問題に絞って対策を進めます。

「出題されやすい問題」であるにも関わらず、対策をしないなどありえません。時間に限りがある状態では、最低限ここに絞って対策をしましょう。

まとめ

中学3年生の夏からでも受験勉強は間に合います。ただ、どこの高校でも志望できるわけではありません。特に独自問題が出題されるような難易度の高い高校は、学習時間が不足することから志望が難しいです。

また、合格するためには「受験生という意識を持って効率的な学習」が必要です。例えば「過去問を中心に学習する」「参考書の冊数を絞って完璧にする」などです。

時間がないタイミングからの学習は効率の良さが求められます。志望校に合わせた「やるべきことを絞った学習」をしていきましょう。