都立の「進学指導重点校」とは?
高校受験をするにあたり「できれば大学受験を見据えて進学実績に力を入れている高校に行ってほしい」と考えている保護者の方も多いのではないでしょうか?
都立の中には「大学受験に向けた施策に力を入れている高校」というところもあります。
その高校では、受験指導だけでなくその後のキャリアプランの組み立てにまでフォーカスを当てた取り組みが行われており、先を見据えた受験をしてほしいと考えている方にとってはぴったりと言えるでしょう。
では具体的にそれはどのような高校なのでしょうか?今から詳しくご説明します。
進学指導重点校とは?
進学指導重点校とは、東京都教育委員会から指定された「進学指導の充実を図り、進学指導実績の向上にフォーカスしている都立高等学校」のことです。通称「都立トップ7校」と呼ばれる進学校のことを指します。
この進学指導重点校には指定期間があり、平成30年4月1日から令和5年3月31日まで(5か年)となっています。直近の実績や取り組み状況に応じて、指定期間が継続するかどうかを決定します。
最近では平成30年4月1日から進学指導推進校であった小松川高校がランクアップして進学指導特別推進校に指定されたり、多摩科学技術高校が新たに進学指導推進校に指定されたりしました。
進学指導重点校の取り組みについて
それでは「進学指導重点校」ではどのような取り組みが行われているのでしょうか?
- 補習を増加し、土曜日や長期休暇中にも講習を実施している
- 一般入試の際に「独自に作成した入試問題」を使用している
- 教員公募制の実施することにより、学校が求める教師像を明確にした上で意欲と指導力のある教員を配置している
- 大学受験後のキャリアプラン構築の支援をしている
このように、他校と比べても学力向上に向けての取り組みが特に活発であることがわかります。
進学指導重点校には3つの指定区分がある!
「指定区分とはどういう意味なのか?」「どのように区分されているの?」と考える方もいらっしゃるかと思います。
この「進学指導重点校」は、進学対策に力を入れていると判断された高校を取り組み内容などで3つに区分したうちの一つです。
具体的には以下の3つの指定区分があります。
1・進学指導重点校(現在7校)
2・進学指導特別推進校(現在7校)
3・進学指導推進校(現在13校)
学校の取り組み状況や進学実績を勘案し、このような3つの区分に分かれています。
ではひとつひとつ詳しく見ていきましょう!
進学指導重点校
センター試験結果について(現役生のみ)
1.高校在籍者の中に「5教科7科目で受験する学生」の割合が、約6割以上いる
2.難関国立大学等に合格可能な得点水準(約8割)に到達している学生が、受験者の中に約1割以上いる
3.難関国立大学等への現役合格者が15名(ただし、1学年の生徒数が都立高校は300名程度、中等教育学校は160名~180名程度)。具体的には、東京大学・一橋大学・東京工業大学・京都大学・国公立大学医学部医学科など。
これはどういうことかというと、「現役の国公立大学志望学生が約6割いて、そのうちの約1割が難関国立大学に合格できる学校」が進学指導重点校に選定されるという事です。
簡単な数字で当てはめて考えてみましょう。
例:生徒数320名
受験者192人(生徒数の6割以上)
合格可能な得点を取った生徒 16名(受験者の1割)
進学指導重点校に指定されている7校
- 東京都立日比谷高等学校
- 東京都立戸山高等学校
- 東京都立西高等学校
- 東京都立青山高等学校
- 東京都立国立高等学校
- 東京都立八王子東高等学校
- 東京都立立川高等学校
進学指導重点校が掲げるビジョン
「進学指導重点校」は、2つの大きな目標を両立できる学生を輩出することを掲げています。
- 将来の日本のリーダーとなり得る高い資質をもった生徒の「思考力」「判断力」「表現力」の育成
- 難関国立大学等への進学希望の実現
進学指導特別推進校
「進学指導特別推進校」とは、進学指導重点校に次ぐ大学合格実績を出している学校を指しており、7校が指定されます。この場合も、各学校の学力向上に向けた取組状況等を総合的に考慮して判断します。
具体的な取り組みとしては以下のようなものが挙げられます。
- 生徒の習熟度に合わせた授業の展開
- 個別進路指導の実施
- 土曜日や長期休暇中に講習を行っている
- 自習室や図書館の開館時間の延長
進学指導特別推進校の選定基準
主な選定基準は「以下の大学への合格実績がどのくらいあるのか?」ということです。
- 難関国立大学(東大・一橋・東工大・京大・国公立大学医学部医学科)
- 上記を除く四年制の国公立大学(医学部医学科以外)
- 早慶上智などの難関私立大学
<h4>進学指導特別推進校に指定されている7校</h4>
- 東京都立小山台高等学校
- 東京都立駒場高等学校
- 東京都立新宿高等学校
- 東京都立町田高等学校
- 東京都立国分寺高等学校
- 東京都立国際高等学校
- 東京都立小松川高等学校
進学指導特別推進校が掲げるビジョン
「進学指導特別推進校」は2つの大きな目標の両立を掲げています。
- 将来の日本のリーダーとなり得る高い資質をもった生徒の「思考力」「判断力」「表現力」の育成
- 四年制の国公立大学や難関私立大学等への進学希望の実現
進学指導重点校と同じく生徒に「リーダーとして生きる力」+「学力」を養わせることができる高校が選定されるという事です。
しかし、「進学指導重点校」とは目標とする希望大学のレベルが違います。
進学指導推進校
「進学指導推進校」は、進学指導特別推進校に次ぐ大学合格実績を出している学校の中から13校が指定されます。主に地域ニーズ・地域バランスや学校の取組状況等を総合的に考慮し、判断されます。
具体的には以下のような取り組みが行われています。
- 1,2年次から大学受験を意識できるように個別面談やガイダンスを定期的に行っている
- 土曜日や長期休暇中に補習や講習を行っている
- 家庭学習時間を定期的に把握したり、自習室を開放したりしている
進学指導推進校の選定基準
主な選定基準は、「以下の大学への合格実績がどのくらいあるのか?」ということです。
- 難関国立大学(東大・一橋・東工大・京大・国公立大学医学部医学科)
- 上記を除く四年制の国公立大学(医学部医学科以外)
- 早慶上智などの難関私立大学
- GMARCHR大学(学習院・明治・青山学院・立教・中央・法政・東京理科)
先ほどと比べて大学実績への幅が広まっていることがわかります。
進学指導推進校に指定されている13校
- 東京都立三田高校
- 東京都立豊多摩高校
- 東京都立竹早高校
- 東京都立北園高校
- 東京都立墨田川高校
- 東京都立城東高校
- 東京都立武蔵野北高校
- 東京都立小金井北高校
- 東京都立江北高校
- 東京都立日野台高校
- 東京都立調布北高校
- 東京都立多摩科学技術高校
進学指導推進校が掲げるビジョン
「進学指導推進校」は2つの大きな目標の両立を掲げています。
- 高い将来の目標に向かって自ら進路選択が出来る学生の育成
- 意欲的に勉強に取り組む生徒が希望の大学に進学できるように指導する
つまり、「目標達成する力」+「学力」を養わせるという事です。
しかし「学力」に求められるハードルは比較的低いようです。
まとめ
このように、都立高校の中には大学受験やその後のキャリアプランを見据えた取り組みを行っているところもあります。もしもすでに将来の方向性や大学がある程度固まっているような場合は、こうしたハイレベル高校を目指すのも良いでしょう。