高校受験キホンのキ(東京都版)

数検は受けたほうがいいのか?

受験シーズンになると「検定試験の資格を持っていた方が受験に有利になる」なんて話を耳にする受験生は多いと思います。

しかし「数検(実用数学技能検定)」は、受験生の中で「数学が苦手だからな…」などの苦手意識があったり、そもそも馴染みが無かったりと、一般的に「受験に必要なメジャーな資格試験」ではないかもしれません。そこで今回「数検」について皆さまに詳しくご説明します。

数検は受験しておくべきか?

「数検を受けるべきか、受験勉強をもっとやるべきか…」受験生であれば一度は直面する悩みですね。

結論からお伝えすると数検は「優遇校は少ないが取得しておいて損は無い」です。数検の資格を持っていると、高校受験において様々なメリットがあるからです。

英検や漢検と比べると優遇実施校はマイナー傾向

数検の資格を取得していると受験には有利になりますが、優遇実施校は英検や漢検と比較すると実は少ないです。

英検の優遇実施校は、高等専門・高等学校だけで全国1083校です。(2015年2月19日にかけて行われた日本英語検定協会の調査に基づく)

また、漢検の優遇実施校は、高等専門・高等学校だけで全国2607校です。(2020年9月現在)

しかし数検の優遇実施校は、高等専門・高等学校・中学校を合わせても全国780校しかありません。(2020年9月現在)

この数字を見ても数検の認知度の低さを理解できると思います。

3級以上が評価基準に入る

数検は「ただ自分に合ったレベルの級を取得すれば良い」という事ではありません。取得すべき目安の級が高校ごとに設定されています。その目安はおおむね「3級以上」です。

ただしあくまで目安のため、「5級以上であれば良い」という高校や「2級以上で加点対象」となる高校もあります。そのため、自分の行きたい高校の評価基準をしっかりと確認しましょう。

基本的には私立で優遇されることがメイン

数検は、東京都の受験生だと「私立高校」の学力試験の際に優遇されることがあります。

都立高校の一般入試では内申点への加点がある場合もありますが、基本的に学力試験そのものへ加点される事はありません。

しかし、行きたい都立高校のために私立高校も併願する必要があるので、「都立高校が第一志望」という受験生にも関わってくる重要なことです。詳しくご説明します。

私立高校は主に下記の3つの入試方法があります。

1・推薦入試

2・併願優遇の一般入試

 ※「併願優遇」制度は、私立高校が指定する内申点の基準を満たせばほぼ合格が確約されるというものです。一般入試は受験する必要がありますが、すで合格が確約しているためほぼ点数は関係ありません。

3・一般入試

この3つの中で特に有利に働くのが、2つ目の併願優遇の一般入試です。なぜなら数検の資格が内申点に加点されるからです。

例えば、内申点が「15」しか無いA君の行きたい私立の内申点の合格基準が「16」の場合、「数検」の加点により内申点の合計が「16」となり合格出来るというわけです。

このように、わずかな差である場合ほど数検による加点は力を発揮します。数検を受験してないだけで志望校に合格できないなんて悔しいですね。

数検ではどのような面で優遇されるのか?

数検は、入試や入試後の学校生活でも役に立つ資格です。

  • 入試の出願要件を満たす事が出来る
  • 入試一部免除の権利を獲得出来る
  • 入試の点数に加算される
  • 入試の合否判定の際の材料の一つになる
  • 経済的な援助を受けることが出来る
  • 高校や大学の単位認定に利用出来る

受験に限らず多くのメリットがありますね。ここからはこれらのメリットをさらに詳しくご説明します。

入試の際に加点される

加点基準は高校ごとに様々ですが、「内申点」におおむね「1〜2点の加点」がスタンダードとなっています。

これは高校が指定する様々な評価基準を満たした上での加点となります。そのため、自分の行きたい高校の評価基準を確認しましょう。

1〜2点の加点」と見て「そんな少しの加点にしかならないなら、数検ではなく入試対策を進めよう…」と思う方もいるかもしれません。しかし、その「1〜2点」が合否の分かれ目となります。

場合によっては、先述の通りこの数検による加点が無いことで「ギリギリ不合格になる」という事態もあり得るのです。

数学の学科試験免除

入学試験において数検の受験が免除されます。これは受験生にとってかなりのアドバンテージと言えるでしょう。

実際にこの優遇制度を導入している高校は、私立クラーク記念国際高等学校です。「数検4級以上」を取得していれば、数学の試験が免除されます。

具体的にどのような優遇制度があるのか?

ここまで読んでいただき、「高校入試の為に数検の資格を取りたい!」とやる気に満ち溢れている方が多くいるかと思います。

そこで実際に高校では数検取得によってどのような優遇制度があるのかを見ていきましょう。

郁文館高等学校

「単願入試推薦入試」において優遇されます。「3級以上」を取得していると「内申点に1点加点」されます。

順天高等学校

「推薦入試・一般入試」において優遇されます。「準2級以上」を取得していると「5教科の内申点に1点加点」されます。

また「2級以上」を取得していると「5教科の内申点に2点加点」されます。

立教池袋高等学校

全学科や課程において「2級以上の取得が推奨」されています。このように「必須」や「加点」ではないが「入学してきてほしい学生」の像として掲げている場合もあります。

英検や漢検を「出願要件」して提示している高校も多くありましたが、それに比べて数検は「加点」や「推奨」として提示されています。「取っていれば取っているほど良い」と捉えて良いでしょう。

まとめ

読んでいただいた通り、数検の優遇制度を導入している高校は少ないとはいえ、取得していることでメリットになる可能性も十分にあります。

しかし、英検や漢検と比較して優遇制度がマイナーである点や高校ごとに異なる評価基準を考慮して「自分は数検を受験する必要があるのか」をもう一度よく考えてみましょう。

必要に応じて上手に数検を利用する事が出来れば受験で勝利する事が出来るでしょう!