都立高校必見!
学区制にまつわる現状
「学区」と聞いて皆さんはどのように考えますか?この言葉に馴染みのある方も無い方もいらっしゃると思います。
この「学区制度」は地域ごとに様々な対応がなされています。学区があるかどうかで行ける学校が限られてくるので、そうした意味では私たちの生活と密に関わるものです。
皆さんのお住いの地域はどうでしょうか?これから詳しくご説明します。
学区とは?
「学区」とは、「日本における学校に通学する児童・生徒の居住地を制限した時の区域」を指します。
例えば、皆さんが住んでいる町名番地によって通学する小学校や中学校が決められていたかと思います。それが高校でも採用されている場合があるのです。
学区があるとどうなるのか?
「学区」については様々な意見があります。今から「学区」があるメリットとデメリットを皆さんにご紹介したいと思います。
メリット
まず、学区があることで学校選びに関する苦労が軽減されます。なぜなら、そもそも通える範囲が決まっているので、その中から子供に合う高校を見つければ良いためです。
また、地域に住む子供との濃い結びつきを作ることもできます。自然と近場の子供が集まってくるため、お祭りなどのイベントごとはもちろん、地域の人間が多いので登下校時に安全面を守りやすいなどのメリットもあるでしょう。
デメリット
学区内にあまり評判の良くない高校があったとしても、そこへ通わざるを得ない可能性があります。
もちろん高校がそこしかないというわけではありませんが、「偏差値などを考慮するとその高校しか行けるところがない」という状況も考えられるので注意が必要です。
また、子供の住んでいる場所によっては「もっと近い高校があるのに学区がギリギリ違うから通えない」ということが起こる可能性もあります。
そのようことになれば、3年間わざわざ遠い場所にある高校に通わなければいけなくなるので子供にとっては負担となるでしょう。
現在学区を設けている都道府県はどこか?
あまり「学区」に馴染みが無い方も多いと思います。それは、日本で学区廃止の流れがあり現在多くの地域で高校の学区制は廃止されているからです。
東京都でも、2003年に廃止され「全都一学区」になりました。
2020年9月現在で学区制があるのは22道府県で、以下の地域です。
- 東北・北海道:北海道、岩手、山形、福島
- 関東:千葉
- 中部:富山、長野、愛知
- 近畿:三重、京都、兵庫
- 中部:島根、岡山
- 四国:徳島、香川、愛媛
- 九州沖縄:福岡、佐賀、長崎、熊本、鹿児島、沖縄
関東で学区を設けている県
唯一関東では千葉県に学区制が残っています。詳しく見ていきましょう。
千葉県教育委員会によると、千葉県の県立高等学校の「学区制」のポイントは3つです。
- 「全日制普通科」の学区は、9つに分かれてる
- 自分が住んでいる学区と隣の学区にある高校は志願可能
- 全日制普通科以外の学科と、千葉女子高校・木更津東高校は県内のどこからでも志願可能
⇒詳しい情報はこちら 【千葉県公式サイト】
東京都の学区制について
現在東京都に学区制はありません。2003年に完全廃止され「全都一学区」となり、自由に学校を選択できるようになりました。そのため「自分の学力に合った学校選び」や「将来のキャリアのための学校選び」ができます。
こうした学区の廃止もあり、東京都には公立・私立ともに学力的に優秀な生徒が集まる傾向にあります。
例えば、都立日比谷高校です。学区制廃止前は、東京大学合格率が1桁だったにも関わらず、廃止後は48名を記録しています。
同様に都立青山高校も進学成績が伸びていますが、同じ進学指導重点校である八王子東高校は成績が低迷しています。
大学受験や将来のキャリアを考える場合は、都心部の学校を選択するのも良いでしょう。しかし「やりたい部活動」や「通いやすさ」を重視する場合は、郊外の学校を選択するのも良い選択といえます。
「学校選択制」が増加している
「学校選択制」とは、学区制度とは反対に子供が進学する学校をある程度自由に選択できる制度です。この制度は現在、日本中で増加傾向にあります。では詳しくご説明します。
学校選択制とは
学区外の学校を選択できる制度のことです。
先述の「学区」の割り振りについては役所で確認することが出来ます。
しかし「学校選択制」には種類があり、必ずしも全てを自由に選択できるというわけではありません。それでは具体的にどのような種類があるのでしょうか?
学校選択制の種類
学校選択制には主に5種類あります。
1:自由選択制
市区町村すべての学校を自由に選択できるという制度です。
2:ブロック選択制
市区町村をブロックに分け、その指定されたブロック内でのみ自由に高校を選択できるという制度です。
3:隣接区域選択制
「元々通学が可能とされている学区」+「その学区と隣接している学区」の中で自由に学校を選択できるという制度です。
4:特認校制
特定の学校であればどこに住んでいても選択できるという制度です。この制度を導入している学校は生徒数が極めて少ないことが多いです。
5:特定地域選択制
特定の地域内に住んでいる場合に学校を自由に選択できるという制度です。
完全に自由に選べるというわけではない!
上記の種類を見ると「なぜ全てを自由に選択できないのだろうか?」と考える方もいるかと思います。これには以下のような理由があるのです。
全国一律で導入すべきではない
文部科学省は、「学校選択制」は地域によって様々な課題や状況があるため一律に導入すべきでないと述べています。主に理由は3つあります。
1つ目は、地域ごとで保護者や地域住民の「学校選択制」のニーズに差があるということです。
2つ目は、市町村合併が学校編成を行っている地域があるという事です。
3つ目は、地域ごとに住宅事情や交通事情の変化があるという事です。
このようにもともと「学校選択制」のニーズが無い地域もあったり、ニーズがあっても地域ごとの環境により導入できないということもあったりと様々です。
学生の安全性の確保が難しい為
あまりにも学校選択を自由にしすぎてしまうと、「その地域の子供が外部に流出し結果的に地域と学校の繋がりが希薄になる可能性がある」という懸念がなされています。
繋がりが希薄になることで、地域住民同士の防犯対策などの協力が困難になる可能性があるとの見方がされているのです。
このように地域ごとで様々な事情があるので、その地域のニーズに合った制度を導入することが大切です。
学校選択制のメリットやデメリットも理解することが大切!
上記に加えて、メリットやデメリットも吟味する必要があります。それでは具体的にどのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか?
学校選択制のメリット
一番のメリットは「自身の子どもに合う学校選びが可能」になるという点です。学校を選ぶ選択肢が一気に広まるので、選べる高校の数が当然増えます。
そのため、学区内には無かった「自分にピッタリ合う高校」を見つけられる可能性がグッと上がるのです。
また、「学校ごとの個性が明確になる」という点もメリットになります。生徒の選択肢が増えるということは、高校側からすると「個性がないと選ばれない可能性が高まる」ということです。
そのため、高校が生徒獲得のため独自のPRや施策を行うようになり、学校ごとの個性が目立つようになると考えられます。
学校選択制のデメリット
一番のデメリットは「安全な通学路の確保が困難になる」という事です。学校選択制により私たちは広い範囲から学校を選択する事ができるようになります。
そこでもし自宅から遠い学校を選択してしまうと、通学距離や時間が伸びてしまいます。これにより事故や事件に巻き込まれるリスクも高まるのです。
また、学校により「生徒のバラツキ」が生じてしまいます。自由に選べるとなると、やはり魅力的な学校には沢山の生徒たちが集まります。
だからこそ「人気の学校」と「不人気の学校」の間では、生徒数の格差拡大が生じてしまう恐れがあるのです。
まとめ
以上が学区制度に関する内容です。皆さんのお住いの地域ではどのような制度がありましたか?「そもそも学区がなかった」という方も多いと思います。
「学区」がある方は、地域ごとの特性を理解し限られた選択肢の中で良い学校選びをできるようにしましょう。また、学区制度がなかった方は、幅広い地域を見ることで自分にピッタリ合う高校を探してみてください。